チャイルドシート義務化から20年 安全基準は高まるも後を絶たない誤った使い方とは

安全基準を満たさないチャイルドシートに注意

 R44やR129の安全基準を満たさないチャイルドシートは、本来、日本では販売されることはないはずですが、通販サイトなどで販売されていることもあります。

 安全基準に関する正しい知識を持たない販売業者が扱っていることもあり、「安いから」「コンパクトで持ち運びが簡単だから」という理由で、知らずに購入する人が後を絶ちません。

できるだけ長い期間、後ろ向きで使用することが推奨されている
できるだけ長い期間、後ろ向きで使用することが推奨されている

 カーシェアリングやレンタカーの利用が増えていることもあって、軽くて扱いやすい携帯用チャイルドシートへのニーズは高まっているといえるでしょう。

 しかし、これらの安全性未認証のチャイルドシートはすべて「布」でできており、強い衝撃に到底耐えられるものではありません。国交省の衝突実験テストでも、布製のベルトがちぎれて子どもが座席から放りだされる恐ろしい結果となりました。

 ちなみに、これら布製チャイルドシート数種類が販売されていたアマゾンでは、2015年頃までさかのぼって購入者全員に使用をやめて破棄を指示し全額を返金しています。そのほかの通販サイトでも販売中止の措置を取り始めています。

 緊急用や携帯用ということであれば、前述した「スマートキッズベルト」や「マイフォールド」はコンパクトで持ち運びがしやすく、国が定めたECE R44/04基準にも適合しており、最低限の安全性は確保されているといえます。

 一方で、最新の安全基準R129i-Sizeを満たした安全性の高いチャイルドシートであっても、使い方を間違えていると事故の際に子どもの命を守れません。

 チャイルドシートの間違った使用方法とはどのようなものなのでしょうか。

 チャイルドシートがクルマの座席に正しく取り付けられていても、子どもを座らせた後のハーネス(チャイルドシートについているベルト)の締め方が緩いことがあります。この場合、衝撃を受けるとハーネスの間から子どもだけがすっぽ抜けることがあります。

 同様に、寒い時期ダウンジャケットなど厚い上着を着たまま座らせるのも危険で、ハーネスと子どもの体の間に分厚い防寒着があることによって、子どもの体を守るハーネスの拘束力が100%ではない状態になっているのです。ハーネスは指2本入るくらいにきっちり締めます。

 エアバッグのある助手席に乳児用の後ろ向きシートを付けてしまうのも間違いです。

 後ろ向きシートはエアバッグのない後部座席で使用します。日本車にはほとんどありませんが、助手席エアバッグのON/OFFスイッチがあるクルマでは、エアバッグが展開しないようにすれば、助手席で後ろ向きシートを使用することができます。

 1歳近くになっても新生児用パッドを使っている人がいるようですが、新生児用パッドは生後6か月くらいで外してください。赤ちゃんの体とシートの間にすき間ができて危険です。

 また、身長76cm未満、体重10kg未満など、体格に合っていないのに前向きでの使用はやめた方がいいです。極力後ろ向きで使用するのが安全です

 加えて、前述のとおり、2017年2月以降は、背もたれのないブースターシートは身長125cm・体重22kg以上での使用が義務付けられているため、身長100cm程度で背もたれのないジュニアシートに座らせてはいけません。

※ ※ ※

 2019年8月に公表された最新データによると、6歳未満のチャイルドシート使用率が、調査開始以来初めて7割を超えました。その一方で、乳児・幼児における着座状況は6割から7割前後に誤りがあることがわかっています。

 なかにはチャイルドシートを固定せず、座席の上にただ置いているだけというケースもあったそうです。

 チャイルドシートの安全基準が高まっても、使用時にミスがあっては子どもの命は守れません。チャイルドシートは正しく使用することが、重要だといえます。

【画像】チャイルドシートの正しい使い方知ってる? (10枚)

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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