無骨なスタイルが超カッコイイ! クロカン4WDを代表する名車5選

近年、人気が高まっているSUVは、都会的な雰囲気のモデルがほとんどです。一方で、1980年代から1990年代の、いわゆる「RV」は、悪路走破性を前面に押し出した無骨なモデルばかりでした。そんな無骨さがカッコいい往年のSUVを5車種ピックアップして紹介します。

スマートではないけどカッコ良かった懐かしのRVたち

 現在、世界的に人気が高まっているSUV(Sport Utility Vehicle)の起源は、アメリカのピックアップトラックといわれています。ワゴンのようなルックスにするために、荷台にFRP製のキャノピーを設置し、サーフボードやキャンプギアなどを載せるのが若者の間で流行しました。

1980年代のRVは直線基調のデザインでカッコイイ!
1980年代のRVは直線基調のデザインでカッコイイ!

 近年のSUVは乗用車ベースの都会的なクロスオーバータイプが主流で、各メーカーから次々と新型車が登場しています。

 一方で、1980年代から1990年代のSUVは本格的なクロスカントリー車が主流だったため、多くはトラックのシャシと同じラダーフレーム採用し、無骨なデザインのモデルがほとんどでした。

 当時は「RV(Recreational Vehicle)」と呼ばれ、その無骨さがアウトドアギアのイメージと重なり、人気が高まって、ブームにまで発展。

 そこで、1980年代から1990年代にかけて販売された懐かしのRVを、5車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「ハイラックスサーフ」

スタイリッシュなRVとして一世を風靡した「ハイラックスサーフ」(画像は北米仕様)
スタイリッシュなRVとして一世を風靡した「ハイラックスサーフ」(画像は北米仕様)

 日本の高度成長期には数多くのピックアップトラックが、輸送手段として使われていました。小型モデルには日産「サニートラック」やトヨタ「パブリカピックアップ」があり、それよりも積載量が大きいモデルでは、日産「ダットサントラック」や三菱「フォルテ」、日野「ブリスカ」が人気でした。

 そのブリスカの後継車として、日野と業務提携していたトヨタから1968年に発売されたのが初代「ハイラックス」です。北米市場でも「トヨタトラック」として販売され、高い信頼性と経済性で人気となります。

 1984年に、4代目ハイラックスをベースにFRP製キャノピーを取り付けたモデルの初代「ハイラックスサーフ」がラインナップされました。

 ちなみに、アメリカでは日本に先駆けて1983年に「4Runner」という車名で発売されています。

 初代ハイラックスサーフは、4ナンバー登録のライトバン(貨物)としてデビューしたため、ハイラックス4WDと同じ4輪リーフリジッド式サスペンションを採用。乗り心地は硬く、悪路走破性や信頼性が重視されていました。

 また、アメリカのSUVをイメージさせる2ドアのボディはスタイリッシュで、若者を中心に人気を博します。

 1986年には5ナンバーの乗用車モデルが追加され、ユーザー層を拡大。1989年に2代目にバトンタッチするかたちで生産を終了しました。

●三菱「パジェロ」

普段使いもできる本格4WDとしてデビューした「パジェロ」
普段使いもできる本格4WDとしてデビューした「パジェロ」

 軍用車から派生した三菱「ジープ」は、本格的なクロスカントリー車の代名詞的存在です。しかし、機能性を突き詰めたジープは、普段使いには厳しいほどストイックなモデルでした。

 そこで三菱は1982年に、ピックアップトラック「フォルテ4WD」のラダーフレームを流用し、乗用車のように普段使いもできるオフロードモデルの「パジェロ」を発売します。

 初代パジェロには、メタルトップとキャンバストップがラインナップされていましたが、発売当初は全車4ナンバー登録のライトバンでした。

 しかし、乗用車モデルを望む声が多かったため、1983年に5ナンバー登録の「メタルトップワゴン」が追加されます。

 高い悪路走破性を持つ本格的なクロスカントリー車だったパジェロは、過酷なレースとして世界的に有名だった「パリ・ダカールラリー」に参戦し、市販車無改造部門でデビューウィンを飾るなど、イメージアップに成功。

 後のRVブームでは、ブームをけん引する中心的な存在となりました。

●日産「ダットサントラック」

働くクルマから転じてRVとしてヒットした「ダットサントラック」
働くクルマから転じてRVとしてヒットした「ダットサントラック」

 日本の経済成長を長年にわたり支え続けてきたといっても過言ではない日産「ダットサントラック」は、初代が第二次大戦前の1935に発売。

 初代は720ccエンジンを搭載した小型車でしたが、その後、時代の流れと共にエンジンやボディが大きくなり、1980年には8代目ダットサントラックに初の4WD車が追加されました。

 そして1985年に9代目になると、先代よりも乗用車的になったインテリアなどから、単なる小型ピックアップトラックではなくSUVとして認識されるようになります。

 とくに4ドアでリアシートを持つ「ダブルキャブ」は、乗車定員が多いだけでなく室内空間が広いこともあり、マリンレジャーを好む若者たちには「クルマの中で着替えができる」と、人気になりました。

 また、9代目ダットサントラックは長期間製造されたために、さまざまなエンジンバリエーションを持っていますが、1992年のマイナーチェンジで外観が北米仕様と近くなり、ゴツいピックアップトラックでありながらも2.7リッターターボディーゼルエンジンを搭載したモデルは、高い人気となりました。

 なお、1986年に、ダットサントラックをベースにした、クロスカントリー車の「テラノ」が発売され、こちらも人気を博しました。

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