雪道は4WD車じゃないと走れない? 2WD車のFFとFRで雪道が得意なのはどっち?
雪道に強いイメージのある4WDですが、2WDでは雪上走行できないのでしょうか。4WDの優位性や2WDでの雪道を走行する場合の注意点とは、どのようなものなのでしょうか。
4WDの特性を理解すると雪道がより安心に走れる
冬本番となり、雪が多く降る地域に出かけることが多くなる季節です。しかし、ふだん雪が降らない地域に住んでいる人にとっては、慣れてない雪道は路面が滑りやすく、運転に気をつかうものです。

4つのタイヤに駆動力を配分する4WDであれば、雪道でも安心して走れるといいますが、2WDのクルマは雪道を走行できないのでしょうか。
一般的に雪道や凍結路での走行に関して、4WD車は動力が4つのタイヤに配分されるため、滑りやすい路面でも駆動力が伝わりやすいのは事実です。
とくに、2WDより4WDの方が発進しやすいといわれており、雪の多い地域では軽自動車でも4WD車が売れ筋のようです。
4WDにはいくつかの種類が存在しており、「フルタイム式(オンデマンド)4WD」は、前輪駆動(FF)ベースと後輪駆動(FR)ベースがあります。
この方式では、通常は2WDで走行していて、前後輪の回転差が大きくなるとメインの駆動(FFもしくはFR)以外のタイヤにも駆動力が伝わるシステムになっています。
ほかにも4輪を常時駆動する「センターデフ付きフルタイム式4WD」や、手元のスイッチなどで2WDと4WDを切り替えられる「パートタイム式4WD」などを採用する車種もあります。
JAF(日本自動車連盟)の雪上走行テストは、新品のスタッドレスタイヤを装着した2WD車(FF)と4WD車で登坂実験をおこなったところ、9%の勾配の上り坂は両方クリアできましたが、20%の勾配になると2WD車は途中でスリップして上れませんでした。
一方の4WD車は、難なくクリアできたという実験結果が出ており、雪道の上り坂に関して、4WDは大きなアドバンテージを持っていることが証明されています。
雪道での上り坂では圧倒的な優位性がある4WDでも過信は禁物で、2WD車と比べると、4WDは複雑な機構を搭載するため重量が重くなり、制動距離に影響が出る可能性が高くなります。
JAFの雪上走行テストで、圧雪された平坦な道で時速40kmから急ブレーキをかけたところ、制動距離は4WD車が約20m、2WD車が約22mとなり、ほとんど差が出ませんでした。
上り坂では優位だった4WD車ですが、平坦な道で止まるときは2WD車の性能と変わらないのです。
さらに、圧雪された下り坂の制動テストで、勾配9%の下り坂で時速40kmから急ブレーキをかけたところ、2WD車は約29mから33mで停止したのに対し、4WD車は約35mから40mもの制動距離が必要でした。これは4WDの重量により、下りの制動距離が伸びたものと推測されます。
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4WDは、発進や上り坂には強いのですが、車両が重いため、平坦な道や下り坂でのブレーキングは苦手です。
4WDに乗っているから大丈夫だと過信すると、いざというときに停まれなくなることもあるので、十分な車間距離が必要という認識を持つとよいでしょう。



















