SUVは多すぎ!? 市場に供給過多でも新型モデルが投入される理由とは

SUVとは一転、ミニバン市場は縮小傾向?

 ミニバンは昔から根強い人気を誇っていますが、ここ数年では徐々にミニバン市場が減少傾向にあるのではないかといわれています。 

 対照的に多種多様なSUVが続々と市場に投入。まさに、SUVブームといえる状況です。増加傾向にあるSUV市場と縮小傾向といわれるミニバン市場には、どのような関係性があるのでしょうか。

SUV風グレードを追加したホンダ「フリード」とミニバンを廃止して投入したマツダ「CX-8」
SUV風グレードを追加したホンダ「フリード」とミニバンを廃止して投入したマツダ「CX-8」

 約30年前に、「RVブーム(クロカンブーム)」が起こり、そして「ミニバンブーム」起こり、いまでは定番化されたジャンルとなっています。

 ミニバンは、家族や友人とでクルマに乗って旅行やレジャーに行く需要が高まったことから、人気が高まりブーム化したといわれます。

 なかでも、トヨタ「エスティマ」やホンダ「オデッセイ」などの登場をきっかけに人気に火が付き、2000年代に入ってからは、トヨタ「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」、日産「セレナ」、ホンダ「ステップワゴン」といったミドルサイズミニバンが売れ筋のモデルです。

 その後は、フルサイズの高級ミニバンであるトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」、日産「エルグランド」もミニバン人気に拍車を掛けたのです。

 しかし、最近ではコンパクトサイズのトヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」が3列シートの多人数乗車ではなく、レジャー道具の積載性や車中泊などの使い勝手に特化した2列シート車の設定などによって人気を博しています。

 一見、ミニバンジャンルというなかで、サイズ感やニーズの変化により移り変わりがあるように思えていました。

 しかし、マツダの調査によるとミニバン市場のユーザー動向における「リピート/流入/流出」において、2010年のミニバン市場はリピートや流入が多かったのに対して、2014年にはリピートに変化はありませんが、流入が減少し、ミニバンから他ジャンルに乗り換える流出が増加したといいます。

 対して、SUV市場のユーザー動向の「リピート/流入/流出」では、2010年時点ではリピートや流入に対して流出が大きかったですが、2014年から2018年にかけて逆転し、流入が大きく増加しているようです。

 なぜミニバン市場が減少傾向にあるのに対して、SUV市場は伸びているのでしょうか。さまざまな理由が考えられるなかで、多くのSUVラインナップを持つトヨタの販売店スタッフは次のように話します。

「ミニバンからSUVにユーザーが移っている理由はいくつかあると思います。まずは、ミニバンが流行った頃はいまよりも祖父母や複数のお子さまがいる家庭が多くありました。しかし、最近では多くても4名家族という風に家族のスタイルが変化しているのではないのでしょうか。

 その結果、多人数乗車が必須だったミニバンから使い勝手やライフスタイルに合う多様性をもったSUVが流行ったのだと思います。実際に、当店でも『子どもが成人した』、『老後はアウトドアや釣りに冒頭したい』といった理由などで、ミニバンからSUVに変えたお客さまがいらっしゃいます」

※ ※ ※

 また、前出のシエンタやフリードに2列シート車やSUV風のグレードが追加された理由では、シエンタの開発主査は「年配のお客さまなどから車中泊をしたいという要望がありました」と説明。

 対してフリードの開発主査は、「SUVのテイストを持ったスライドドアのクルマが無かったため、ミニバンの機能を持ったSUVテイストのグレードを追加しました」と、アウトドアや車中泊といった、ニーズが全体的に高まっていることがわかります。

 同時に、軽自動車のスズキ「ハスラー」や三菱「eKクロス」、コンパクトカーの日産「ノート シーギア」やホンダ新型「フィット クロスター」などにもSUV風モデルが増加しているのです。

 これらのように、ミニバンの主要ターゲットであったファミリー層の変化や、ミニバンをはじめとする新車市場のトレンドがSUVよりになっていることなどが、SUV市場が伸びている要因だといえます。

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