払った自覚なし?「自賠責保険」 16%減額のいま知りたい強制・任意保険の現実
「任意」とはいえ、運転をおこなう場合は必ず加入しておきたいのがクルマの任意保険ですが、なんと4台に1台のクルマは自賠責保険だけで、任意保険に未加入だといいます。事故相手が未加入だった場合、何が起きるのでしょうか。
いつ払ったっけ? 自賠責保険とはどんなものなのか
2020年1月15日に、自賠責保険の保険料引き下げに向けた議論が始められることが、マスメディアなどで報じられました。引き下げが決まると2017年以来3年ぶりとなります。
自賠責保険は、原付や250cc以下のバイクの場合は個別に支払うことができます。しかしクルマの場合は車検時にほかの費用と一緒に支払うため、どのようなものなのか分かりにくいです。はたして、自賠責保険とはそもそもどのようなものなのでしょうか。
現在引き下げが検討されている自賠責保険(正式名称:自動車損害賠償責任保険)は、クルマやバイクを所有する人に加入が義務付けられている保険です。
各種報道によると、自賠責保険の保険料の引き下げが適応されるのは2020年4月の契約分からで、引き下げの割合は16%前後になるということです。
2020年1月現在、自賠責保険の保険料は、普通車(自家用乗用自動車)では2万5830円で、軽自動車では2万5070円です(2年契約の場合)。
16%引き下げられた場合、乗用車は2年間で4000円ほど安くなる計算となります。
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一般的に、「自動車保険」というと、テレビCMなどで各保険会社が宣伝する保険商品をイメージする人も多いと思いますが、じつは自賠責保険は、この「自動車保険」とは立ち位置が違います。
自賠責保険は、前述の通りクルマなどの所有者に加入が義務付けられていて、「強制保険」とも呼ばれているものです。
クルマや251cc以上のバイクなど、車検が必要な車両の場合は、車検と同時に支払います。そのため、クルマの所有者の場合は保険料を払っている自覚がない人もいるかもしれません。
車検のタイミングで支払うのは、自賠責保険が切れている場合、車検を通すことはできなくなることからです。一般的には、車検切れのクルマは自賠責保険も切れている状態といえるでしょう。
賠償の範囲は対人のみで傷害で120万円、死亡で被害者1名につき3000万円、後遺障害時に被害者1名につき4000万円と定められています。
一方、CMで目にする自動車保険は、「任意保険」と呼ばれるものです。
加入は義務付けられていませんが、補償範囲が限られている自賠責保険を補うものとして、より手厚い補償を受けられることが特徴として挙げられます。補償範囲も自分で決められるほか、車両への補償もつけることが可能です。
自賠責保険の補償範囲では事故の際に対応しきれないことも多く、公道を走るドライバーのモラルとして任意保険に加入することは不可欠といえるでしょう。
また、もし任意保険に加入していないと、事故対応を自分でおこなうことになります。自動車保険(任意保険)会社で事故対応を経験した担当者は、次のように話します。
「任意保険未加入のリスクのひとつに、すべての事故対応を自分自身でおこなわなければならないことが挙げられます。
事故相手が任意保険に加入している場合、素人である未加入者がやりとりする相手は『事故対応のプロ』である保険会社のスタッフとなります」
無保険車傷害特約・弁護士特約については触れないのか…
任意保険会社が無過失契約者の相手と交渉することは弁護士法の非弁行為に当たります。
この場合は任意保険で弁護士費用特約を使用し弁護士委任をして対応します。