払った自覚なし?「自賠責保険」 16%減額のいま知りたい強制・任意保険の現実
自賠責保険だけじゃダメ! 任意保険未加入で何が起きるのか
前述の通り、万が一の事故に備えるためには自賠責保険だけでなく任意保険への加入が必要となりますが、実際にはすべてのクルマが任意保険へ加入している訳ではありません。
損害保険料率算出機構による2019年4月時点のデータでは、乗用車・2輪車・商用車など、すべての車両を含めた任意保険の普及率は、対人賠償において74.6%、対物賠償において74.7%となっており、4台に1台は任意保険に未加入という状態です。
乗用車のみのデータを見ても、自家用普通乗用車(通称『3ナンバー車』)で82.3%(対人賠償・対物賠償は同比率、以下同様)、自家用小型乗用車(通称『5ナンバー車』)で78.9%、軽四輪乗用車で77.2%と、やはり未加入のクルマが一定数存在します。
もし、任意保険未加入のクルマが事故に遭遇すると、どのような事態となるのでしょうか。
事故対応の経験を持つ前出の担当者は、当時の事故対応のエピソードについて次のように話します。
「私の営業所の管轄内で、任意保険未加入の人が事故を起こしたことがあります。そのときは、私どもの保険に加入されているお客様が事故に遭われて、その事故相手が任意保険に入っていませんでした。
駐車場内で起きた事故で、加入者のクルマに保険未加入の人のクルマが突っ込んできた、という内容になります。
このときのように片方のクルマが停止しているような、過失割合10対0の事故の場合、通常は1か月程度ですべての処理が完了するのですが、この件では3か月以上要したことを記憶しています」
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担当者は駐車場で起きた事故の結末について、「保険に加入されている方の立場から、我々スタッフが責任をもって事故相手と交渉をおこないました。時間がかかったものの、最終的には相手に全額賠償いただいております」と振り返ります。
また、事故を起こした双方が任意保険未加入だった場合が仮に起きてしまったら、という質問に対しては、「もはやその事故は解決しないのでは、とさえ思います」と答えました。
自賠責保険の引き下げは、ドライバーの立場から見れば喜ばしいことです。しかし、任意保険をはじめとした事故への備えを過度に切り詰めることは、最終的には大きな代償としてドライバーへ跳ね返ってきます。
カーライフにおけるリスクを下げるためにも、すべてのドライバーが最低限の備えをする必要があるといえるでしょう。
無保険車傷害特約・弁護士特約については触れないのか…
任意保険会社が無過失契約者の相手と交渉することは弁護士法の非弁行為に当たります。
この場合は任意保険で弁護士費用特約を使用し弁護士委任をして対応します。