ペダルの踏み間違いに有効? 手動運転補助装置は対策法に活用できるか
高齢ドライバーによる交通事故対策として、政府の令和元年度補正予算案に「サポカー補助金」が盛り込まれました。国交省が先行認定した後付のペダル踏み間違い防止装置の導入も交付対象となるものですが、下肢に障害をもつ方用の運転補助装置などは後付のペダル踏み間違い防止装置に転用できないのでしょうか。
手動運転装置はペダルの踏み間違い防止に使えるのか?
高齢ドライバーによる交通事故対策として、政府の令和元年度補正予算案に「サポカー補助金」が盛り込まれました。
国土交通省が先行認定した後付のペダル踏み間違い防止装置の導入も交付対象となるものですが、下肢に障害を持つ人向けの運転補助装置などは後付のペダル踏み間違い防止装置に転用できないのでしょうか。
2019年4月、世間に衝撃を与えた東京・東池袋の暴走事故は、当初はクルマの不具合も懸念されていましたが、その後の調査によりペダルの踏み間違いが原因と断定されました。
事故以来、免許を返納する人が増加したとの報道もありましたが、2020年になっても高齢ドライバーのペダル踏み間違いと見られる事故は発生しています。
少子高齢化による高齢ドライバーの増加に伴い、高齢ドライバーによる事故の増加が予想されているなか、政府は高齢ドライバーによる交通事故対策として、2019年12月13日に閣議決定された令和元年度補正予算案に「サポカー補助金」を盛り込みました。
補正予算案が可決・成立した場合、65歳以上の高齢運転者による、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い急発進等抑制装置が搭載された安全運転サポート車「サポカー」の購入に際し、補助金の交付を受けられるようになります。
また、サポカーの購入だけでなく、国土交通省によって先行認定を受けている後付けのペダル踏み間違い防止装置の導入も対象となっており、令和元年度中(2020年3月末まで)に満65歳以上となる高齢運転者に、装置を販売する事業者などを対象としています。
先行認定を受けた後付けのペダル踏み間違い防止装置のなかには、ペダル操作の一部を変更するものがあります。
操作の変更がペダル踏み間違いの防止に有効なのであれば、ペダルの操作を手動レバーなどに置き換える「手動運転装置」のような運転補助装置も、ペダルの踏み間違い防止に有効なのではないでしょうか。
「手動運転装置」は、両足に障害を持つ人が運転できるように、手や腕でアクセルやブレーキをコントロールするための、自操式に分類される運転補助装置です。
ペダルの踏み間違いに転用できそうな装置は、アクセル操作とブレーキ操作を一体化したレバー式のもので、レバーを後に倒すことでアクセル操作、レバーを前に倒すことでブレーキ操作となります。
このタイプの手動運転装置であれば、アクセル操作とブレーキ操作が一体化されているため、アクセルペダルとブレーキペダルを同時に踏むような操作にはなりません。
また、衝突直前に腕を前に踏ん張るような姿勢となれば、ブレーキをかけられる可能性も考えられます。手動運転装置は、ペダル踏み間違いによる事故の防止も期待できるのでしょうか。
身障者用自動車運転装置や、車いす用昇降リフトなどの製造販売取付などを手掛ける、株式会社ミクニライフ&オートに話を聞きました。
――ペダル踏み間違い防止を目的とした運転補助装置の導入実績はあるのでしょうか。
導入実績はありません。ただ、そのような要望をされる問合せはたくさんあります。ですが、現在のところペダルの踏み間違いを抑制する装置として、当社の製品はおすすめしておりません。
――後付のペダル踏み間違い防止装置の開発予定はありますか。
検討していましたが、すでに数社が展開していたこともあって、当社としては開発を断念しました。ただし、当社は自動運転関連にも関わらせていただいており、そちらでの対応を目指したいと考えています。
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