東京の玄関口なぜ無残な姿に? 東名高速の東京料金所が鉄骨むき出し状態の理由とは
美しく生まれ変わる東京料金所
2019年4月からスタートしたこれまでの工事は、ちょうど1年後の2020年4月に完成となります。完成予想図では、現在の痛々しい姿からは想像できない、シンプルで優美な姿となるようです。
東名料金所近くの名物ともいわれていた巨大な遮音壁は重厚で迫力ある印象でしたが、リニューアルを終えた現在は、すっきりと美しい姿に生まれ変わります。
デザインコンセプトなどについて、中日本高速道路株式会社東京支社 総務企画部 広報・CS課に伺いました。
――デザインのコンセプトについて教えてください。
「デザインのコンセプトは、進化し続ける東名高速の玄関口として、近未来を想像させるデザイン、光を透過する膜を採用することで、やわらかな雰囲気を表現しました」
――デザインはどのようにして決まりましたか。
「有識者である長岡造形大学 江尻憲泰教授(江尻建築構造設計事務所主宰)と明治大学 高橋潤兼任講師(建築家 DESIGN FIRM 主宰)と社内関係部署にて作業部会を構成して、料金所屋根の軽量化案3案(大屋根案、アーチ案、折れ屋根案)を立案しました。
立案した3案から、最終的に選ばれたのは「折れ屋根案」です。
東京の玄関口として折り紙や陣幕的な和の雰囲気を膜の構成によって醸成している点と経済性をおもな理由として、直線を基調とした折れ屋根案に最終案を決定しました」
※ ※ ※
完成予想図を見ると、ずいぶんコンパクトになった印象があります。料金所のレーン数は下り線が7つ、上り線が7、8つとなるようで、とくに、かつては上り線には16のレーンが並んでいたので、およそ半分に減少しています。
――レーン数が減ったのはなぜでしょうか。
「NEXCO中日本管内のETC利用率は93.2%(2019年10月現在)となっており、ETCゲートを利用するユーザーが増え、一般ゲートを使うクルマが少なくなったからです」
――レーンが少なくなることによるメリットはありますか。
「レーンが横方向へ広がる幅が狭くなることによって、ハンドル操作が少なくなりますので、より安全な走行に寄与できると考えております」
確かに、東京料金所においても、一般レーンよりもETCレーンの数が年々増えていたような印象があります。ほとんどのクルマがETCレーンを利用するのであれば、一般レーンも料金ブースも減らすことが可能です。
また、かつて16もあったレーンは横方向への広がりが大きく、短い距離のなかで左から右へ移動する際は十分な注意が必要でしたが、レーン自体がコンパクトになれば、車線移動もラクになり、接触事故などのトラブルも少なくなりそうです。
なお、料金所がコンパクトになったことによって、かなりのスペースが生まれることになりそうですが、このスぺ―スをどのように活用していくかは現時点では未定とのことでした。2020年4月の完成が楽しみです。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。