新型「ライズ」好調でC-HR不調!? トヨタ全店併売で2020年は激しい同士討ちが加速か
2020年は「トヨタの敵はトヨタ」がさらに加速する?
最近の国内新車市場では、40%近くが軽自動車です。ホンダも軽自動車に力を入れて、「N-BOX」が国内販売の総合1位になりました。その結果、ホンダが売る新車の50%が軽自動車になっています。日産の軽自動車比率も40%と高く、三菱は55%に達します。
このように、従来から軽自動車を主力にしていたダイハツとスズキに加えて、ホンダ、日産、三菱まで軽自動車に力を入れているのです。
その結果、小型/普通車の商品開発力と販売力が低下して、日本国内で売られる小型/普通車の50%がトヨタ車になりました(レクサスを含む)。軽自動車まで含めたトヨタのシェアは約30%ですが、小型/普通車に限れば、約半数に達します。
そうなると小型/普通車市場はトヨタの天下で、販売競争では「トヨタの敵はトヨタ」になります。そのためにC-HRが発売されたときは、ハイブリッドシステムやプラットフォームを共通化したプリウスの売れ行きが下がりました。
次にRAV4が登場すると、C-HRは顧客を奪われました。さらにライズが発売されると、RAV4とC-HRが影響を受けるのです。このように小型/普通車は、トヨタ車同士が戦って、トヨタで完結しています。
トヨタ車同士の争いは、今後さらに加速するでしょう。2020年5月になると、東京地区に続いて、ほかの地域もトヨタの全店が全車を扱う体制に移行するからです。
東京地区以外のトヨタ系販売会社には、メーカー資本に頼らない地場の販売会社が多く、トヨタ店やトヨペット店といった系列は残ります。
それでもトヨタの全店が全車を扱えば、RAV4もカローラ店とネッツ店の専売ではなくなり、手厚く売ってもらうことはできません。この点についても、トヨタのネッツトヨタ店に尋ねました。
「クラウンをネッツ店で販売できれば便利になりますが、売れる車種と不人気車の格差は激しくなるでしょう。販売会社も同様です。
販売力の違いが、販売実績にハッキリ表われるでしょう。また以前はヴィッツのお客さまが遠方から来店されることもありましたが、全店が全車を売れば、その必要はありません。住宅地やオフィス街から離れた販売店では、お客さまが減る心配もあります」
※ ※ ※
トヨタは全店併売と併せて、姉妹車を中心に、トヨタの車種数を半減させる方針も打ち出しています。ライズの登場に伴うC-HRやRAV4の販売ランキング低下は、2020年にトヨタで吹き荒れる、激しい同士討ちの予兆かも知れません。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。