過去のホンダはイキオイがスゴかった!? 名エンジンを搭載したホンダ車5選
ホンダといえば、1980年代からF1にエンジンを供給するなど高性能エンジンに長けたメーカーです。市販車においてもさまざまな高性能エンジンを開発してきました。そこで、名機と呼ばれるエンジンを搭載したホンダ車を5車種ピックアップして紹介します。
DOHCエンジンは高性能車の証だった
「DOHC」とはダブルオーバーヘッドカムシャフトの頭文字をとったもので、エンジンの吸排気バルブを開閉するカムシャフトを吸気側と排気側を分けた2本とし、燃焼室形状の改善や、高回転高出力化がおこなえることで、スポーツカーのエンジンとして扱われてきました。
1980年代に、トヨタはスポーツカー以外のエンジンもDOHC化を進めるなど、一気に国産車にDOHCエンジンが普及します。
一方、ホンダは自動車製造の黎明期からDOHCエンジンを製造し、一旦はDOHCを廃止しましたが、1980年代に時代の流れに乗るように復活させ、現在ではさまざまな車種がDOHCエンジンを採用。
そこで、高性能なDOHCエンジンを搭載したホンダ車を5車種ピックアップして紹介します。
●T360【1963年発売】
1963年に日本で初めてDOHCエンジンを搭載した市販4輪車はホンダ「T360」です。ホンダ初の4輪車でもあり、しかも軽トラックというのが、ホンダらしいところではないでしょうか。
一般家庭に自家用車が普及する以前、オートバイよりも荷物が積めて寒い冬でも乗りやすいことから、ホンダは商用車のニーズがあると考えた結果、スポーツカー用に開発していたエンジンを軽トラックに搭載して発売。
T360のミッドシップ(座席のやや後ろ)にマウントされた360cc水冷直列4気筒DOHC「AK250E型」エンジンは、当時の軽自動車の多くが2気筒で20馬力程度だったのに対し、驚異的な30馬力/8500rpmを絞り出す高回転型高出力エンジンでした。
スペック的には目を見張るものでしたが、荷物を積んで移動するための軽トラックには似合わない出力特性で、「回転数を上げないと力がない」と、決して評価は高くありませんでした。
1967年には空冷2気筒SOHCエンジンを搭載した「TN360」が登場しT360は生産を終了しますが、後にその特殊性が注目され、現在ではコレクターズアイテムとなっています。
●シビックSi【1984年発売】
1970年に発売された大衆車の「シビック」は、1984年登場の3代目に、ライバルのトヨタ「カローラレビン/スプリンタートレノ」と同様に、新開発の1.6リッター直列4気筒DOHC16バルブエンジン「ZC型」を搭載した「シビックSi」をラインナップ。
「S800」の生産終了から、じつに14年ぶりにホンダの量産4輪車用DOHCエンジンが復活しました。
最高出力135馬力、最大トルク15.5kgを発揮し、カローラレビンが当時としては高回転型エンジンを搭載していたのに対し、シビックSiは常用域からトルクが太く「乗りやすく速い」と評価されます。
1.6リッターながら俊足なシビックSiは、「走り屋」と呼ばれる層からは絶大な支持を受けることになりました。
さらに1985年から市販車をベースにした車両で競われた「全日本ツーリングカー選手権」での活躍で、「シビック=スポーツコンパクトカー」の地位を不動のものにしていきました。
●CR-X SiR【1989年発売】
1983年に登場した「バラードスポーツCR-X」は、シビックとシャシを共用するファストバッククーペで、ひと目でスポーツカーとわかるルックスです。
同じエンジンを搭載するシビックと比べると、極端に短いホイールベースにより、クイックな挙動の高い運動性能を持ち、シビックとは違う操縦性が与えられていました。
1987年に発売された2代目は「CR-X」に改名され、ワイド化されたシャシに4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用し、さらにコーナーリング性能が向上します。
他メーカーがターボやスーパーチャージャーエンジンをスポーティグレードに搭載していたことに対抗し、ホンダは可変バルブタイミング&リフト機構の「VTEC」を開発。
最高出力160馬力を発揮する1.6リッター直列4気筒DOHC VTEC「B16A型」エンジンを搭載した「CR-X SiR」を、1989年に発売しました。
自然吸気の市販車用エンジンで、リッターあたり100馬力を誇ったのは当時としては驚異的なことでしたが、最高出力を重視しつつ、低中回転域でも大きなトルクが発生するというのが、VTECの特徴でした。この特徴を生かして、後にエコ志向なものまで、さまざまなエンジンにVTECが展開されます。
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