ペダル踏み間違い防止装置「ワンペダル」の概要や気になる費用などを、メーカーのナルセ機材有限会社へ伺いました。

――装置の概要を教えてください

　通常のクルマは、加速と巡航をおこなうアクセルペダルと、減速と停止を行うブレーキペダルが、「踏む」という同じ操作方法で隣接しています。

　また、とくにAT車ではブレーキペダル側を高くするようにして段差が設けられていますが、その段差ゆえにブレーキ操作は「踏み損なう」ということがあります。

「ワンペダル」は、ブレーキベダルにかぶせるように取り付け、踏めば減速・停止、足を横にずらすと加速・巡航という、減速・停止と加速・巡航を異なる動きの操作にすることで、踏み間違い自体を未然に防ぐ装置です。

　取り付けに際しては、プレートを設置するためフロアマットにボルト用の穴を開けますが、車体への加工はありません。

　また、電気的・電子的な構造を持ちませんので、クルマの機能や装備に影響を及ぼしません。

――取り付けに際し、構造変更などの申請は必要でしょうか。

　不要です。「ワンペダル」については改造に当たらないという判断をいただいています。

――導入費用を教えてください

　当社（ナルセ機材・熊本）に持ち込みいただく場合と、ディーラーや整備工場での取り付けの場合で異なります。

　右足操作用のシングルタイプで、これまでに取付実績がある車種では、当社にお持ち込みいただく場合は18万7000円（税込）です。

　ディーラーや整備工場で取り付けられる場合は22万円（税込）となります。当社以外で取り付けられるお客さまは、取り付けを担当するディーラーや整備工場をご紹介いただき、お客さまはそちらとご契約いただくことになります。

――東京・池袋で発生した暴走事故のような誤操作にも対応できるでしょうか。

「ワンペダル」は、アクセルの操作を「足を横にずらす」という操作にすることで、「踏む」操作を「ブレーキ」だけに限定します。

　また、アクセルを操作していても、踏み込むとカムクラッチによりアクセルが解除され、ブレーキのみがかかる仕組みとなっています。

「減速しよう」と思って「踏み続けた」のであれば、「ワンペダル」では加速せず減速・停止することになりますので、対応できる可能性はあります。

――任意保険の保険料が安くなるなどはあるのでしょうか。

　現時点ではそのような事例はないと思います。ただ、サポカーについては評価対象となって保険料が減額される例もあるようなので、認定された装置が普及してレベルが上がっていけば、将来的にはそのような動きも出てくるかも知れません。

　もちろん、そのように評価される製品を出して行きたいと考えています。

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　国土交通省が公表した資料では、使用上の注意点として「通常とアクセル操作の方法が異なるため、本装置の操作には一定の習熟が必要です」と記載されており、「踏む」操作をブレーキに限定する「ワンペダル」は、革新的が故に「慣れ」が必要です。

　導入後しばらくはギクシャクした運転になりそうですが、パニックになってペダルを踏みつけても、それはブレーキペダルであるという安心感は、ほかの装置にはない魅力です。