道路の維持管理を効率的に! トヨタと岡山県が実証実験を開始
効率的な道路の維持管理が期待される一方で課題もあり
市内を走るコネクテッドカーからはどのような情報を収集し、どのようなことがわかるのでしょうか。引き続きトヨタ・モビリティ基金の担当者に伺いました。
「車両(コネクテッドカー)に搭載されたセンサーから、振動や急ブレーキの挙動を検出し、位置情報と合わせて収集・解析しています。
たとえば、大きな振動が検出された場所では、路面が破損している恐れがあるということです。
これまでは管理者がパトロールした場所の状態しか把握できませんでしたが、この仕組みでは市民が日常の移動で利用しているクルマからデータが届くため、クルマが通った道の状態を網羅できるだけでなく、通行量の多い場所でパトロールがおこなわれる頻度も劇的に向上し、損傷箇所の早期発見に繋げることが可能となります。
このほかにも、公用車に搭載されているドライブレコーダーによる画像を収集、分析し、路面の劣化状態を画像で確認できるほか、雑草で標識が見えにくいなど、危険な状態となっている場所の検出などにも利用できます。
また、膨大な量となる情報はトヨタ自動車で処理し、AIを活用して解析しています」
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これは、2019年の7月下旬から始まった取り組みですが、現在は計測したデータを赤磐市側に提示している段階で、まだ具体的な成果にはつながっていないようです。
実験は2021年3月までを予定していますが、今後はどのように展開されるのでしょうか。
「まずは、実験を通じて得た結果を公表したいと思います。
そして、有用性が確認できれば、より安全で暮らしやすく、災害に強い街づくりにつながる仕組みとして、自治体などの管理者が安く有効に導入できるようになることを目指します」(トヨタ・モビリティ基金)
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クルマがネットワークに繋がったことで、例えばエアバッグが作動するような事故を検知するとクルマが自動で通報してくれるだけでなく、目的地の天候情報なども瞬時に取得できるようになり、クルマの搭乗者はさまざまな情報やサービスを受けられるようになりました。
ボルボは2019年4月に、クルマ間で滑りやすい路面や危険箇所を共有し、警告するシステムを欧州全域で導入すると発表しました。
この技術は、ボルボ車同士が互いに通信し合い、クラウドベースのネットワークを介して付近の滑りやすい道路の状況や危険な場所に関して、リアルタイムでドライバーに警告するというものです。
これらの取り組みで有用性が実証されれば、道路の利用はより快適になることでしょう。
一方で、クルマがネットワークに繋がったことによる課題もあります。
2015年07月、アメリカのコンピュータセキュリティの専門家2人が、ジープ「チェロキー」の2014年モデルを無線でハッキングする実験に成功し、その後140万台のリコールに発展した事件がありました。
一般的に、クルマは数年から十数年保有されますが、IT技術の進歩は速く、数か月から数年で陳腐化することがあります。また、更新されなくなった古いシステムは脆弱性を抱える恐れも想定されます。
コネクテッドカーの普及と、そのデータを活用する取り組みは、今後の社会に必要不可欠なものとなりますが、セキュリティ面については引き続き重要な課題となりそうです。
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