【3000億円でトヨタが世界の有能な人材集め!】トヨタ色無しのトヨタの会社が日本橋になぜできた?

トヨタは2019年12月、デンソーとアイシン精機と共に総額3000億円以上を投資して設立した「TRI-AD」の新たな開発拠点を、東京・日本橋にオープンしました。都心に出現したトヨタの研究施設は、日本橋で何を目的に設立されたのでしょうか。

3000億円で何をする? トヨタが日本橋につくった研究拠点の全容とは

 東海道の起点である、東京の日本橋。古くは呉服の街として栄え、最近は江戸の情緒を感じられる和風カフェも目立つようになり、若い世代や外国人旅行者向けの観光地として人気です。

 そんな日本橋に、トヨタがAI(人工知能)など最先端IT技術の開発拠点をオープンしました。総投資額3000億円以上が想定されるトヨタの研究施設は、何を目的に生まれたのでしょうか。

東京・日本橋にあるTRI-AD (トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスド・デベロップメント)の新研究オフィス
東京・日本橋にあるTRI-AD (トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスド・デベロップメント)の新研究オフィス

 今回あらたな拠点を作ったのは「TRI-AD (トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスド・デベロップメント)」です。トヨタのほか、トヨタグループのデンソーとアイシン精機も共同出資するかたちで設立されています。

 2018年に設立され、2019年の秋から日本橋の新オフィスへの移行が徐々に進み、同年12月に新オフィスが正式オープン。これを記念して、メディア向けに普段では立ち入り禁止のエリアを含めて、特別にオフィスの内部が公開されました。

※ ※ ※

 今回、新オフィスをメディアに公開したTRI-ADですが、その母体は2016年にアメリカで創設されたTRIです。西海岸シリコンバレーの中心地であるスタンフォード大学に近いパロアルトと、東海岸のハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)に近いエリアに拠点があります。

 2016年1月、ラスベガスで開催された世界最大級のIT・家電見本市CESでTRIの詳細が発表されました。TRIを率いるのは、国防総省の関連機関でロボット研究をしていたMIT出身の研究者、ギル・プラット氏。彼は現在トヨタ本社で、トヨタ全体の技監であるフェローを務めています。

 TRI創設当初は、画像認識やAIなど先進技術の研究が主体でしたが、最近では「TRIは号口(ごうぐち)を目指すための研究開発をおこなう」(プラット氏)という明確な方向性を打ち出しています。号口とはトヨタの専門用語で、一般的には量産を指します。

 そうしたTRIの動きのなかで、トヨタ本社がある日本でのTRI拠点がTRI-ADです。では、TRI全体のなかでTRI-ADの役目はどのようなことでしょうか。

 TRI-ADの最高経営責任者であるジェームス・カフナー氏は「我々のミッションは、ワールドクラスの技術を創出し、世界一安全なクルマを作り上げること」といいます。

 TRI-ADとして最重要な号口開発となっているのが、自動運転に関するソフトウェア開発です。レクサス「LS」をベースとした、自動運転試験車両「TRI-P4」が、アメリカ国内と東京首都高速などの公道で走行しています。猛暑でも車載センサーが正常に作動するように、ルーフ部分には水冷化しているといいます。

 完全自動運転に近いレベル4で実施されており、2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されるお台場地区での実用化に向けた開発が進んでいます。

 なお、TRI-ADのカルチャーとしては「シリコンバレーのイノベーションと、日本のモノづくりの橋渡し役となる」ことを掲げています。今回のオフィスツアーで、筆者(桃田健史)はそうした雰囲気を肌で感じることができました。

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