日本車では作れないディーゼルPHEV「E350de」はメルセデス・ベンツの大本命!

ランニングコスト、走行性能、トータルで考えたらEクラス最強

 試乗した車両は、「E350deアバンギャルドスポーツ」です。試乗コースには、残念ながら高速道路の長距離は含まれませんが、起伏に富んだワインディングロードです。

200Vの専用充電器でも100Vの家庭用コンセントからでも充電できる
200Vの専用充電器でも100Vの家庭用コンセントからでも充電できる

 エンジンを始動した際に感じる、ディーゼルエンジン特有の始動音、アイドリング時の振動やサウンドは、もはや車内では明確に感じることはできません。まずは「ハイブリッドモード」で試乗します。
 
 ハイブリッドモードでは、エンジンとモーターとの協調により、低振動、低騒音でスムーズな加速が可能ということになっています。194馬力/400Nmのディーゼルエンジンを122馬力/440Nmのモーターがアシストしてくれるのですが、アクセルペダルを強く踏み込んだ際の加速は、ちょっと異次元の体験です。
 
 システム出力で306馬力/700Nmを絞り出すE350deですが、ディーゼルエンジンとモーターの双方から得られるレスポンスが尋常ではないのです。ガソリンエンジンに比べて鋭さに欠けるディーゼルエンジンのネガの部分を、モーターが補ってあまりあるレスポンスを生み出しているのです。
 
 積極的にアクセルワークでコーナリングを楽しみたい人にも、十分にオススメできます。燃費や環境性能だけではなく、走りの歓びをもたらしてくれるスポーツハイブリッド的要素も強く感じられます。
 
 その一方で、「Eモード」による完全EV走行の際には、モーター走行の限界点を知らせるために、アクセルペダルの抵抗を増してドライバーに知らせる「プレッシャポイント機能」なども装備しています。
 
 また、ドライバーが不要な加速操作をおこなっている場合、アクセルペダルに2回のノックパルスを発生してドライバーに知らせる「ダブルパルス機能」もあります。これはレーダーで先行車両との車間距離と速度差を計測して割り出しています。
 
 このふたつの機能を「インテリジェントアクセルペダル」と呼び、無駄なエネルギーの消費を抑えるドライビングをドライバーに知らせてくれます。
 
 約50kmのEV走行ができ、長距離移動は低燃費のクリーンディーゼルの恩恵に恵まれ、そしてディーゼルとモーターによる積極的なスポーツ走行もできるE350deは、現在考えうるプラグインハイブリッドのなかで、最高のモデルといって過言ではないでしょう。

※ ※ ※

 プラグインハイブリッドといえば、トヨタをはじめ日本車の得意とする技術です。どうして日本車にはクリーンディーゼルエンジンにモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドが存在しないのでしょうか。
 
 その理由のひとつに、コストが掛かりすぎることが挙げられます。メルセデス・ベンツのようなプレミアム・ブランドであるならば、車両価格が多少高額になっても購買層にはあまり影響がないのです。
 
 E350deアバンギャルドスポーツの車両価格(消費税込)は、875万円です。直列4気筒ディーゼルエンジンを搭載した「E200d アバンギャルド」は757万円なので、プラグインハイブリッド化によって、単純に100万円近く高価になっています。
 
 しかし同じEクラスのラインナップと比べると、E350deアバンギャルドスポーツはお買い得であることがわかります。
 
 たとえば、V型6気筒ガソリンエンジンを搭載した「E450 4MATICエクスクルーシブ」は、最高出力/最大トルクが、367馬力/500Nmでありながら、1094万円もします。E350deのそれが306馬力/700Nmですから、実際に運転したときには、それほど遜色を感じることはないでしょう。
 
 むしろ純粋にFRの走りを堪能したい玄人には、E350deの方がオススメかもしれません。
 
 ただし、ランニングコストを考慮した場合、E350deアバンギャルドスポーツこそがまさしく大本命のEクラスといえます。
 
 唯一、ほかのEクラスに劣る点を挙げるとするならば、トランクスペースが170リッター少ない370リッターであることくらいでしょう。
 
 ちなみに、ディーゼルエンジンのフィーリングがどうしても馴染めないという人には、2リッター直列4気筒ターボエンジンにモーターを組み合わせた、「E350eアバンギャルドスポーツ」というプラグインハイブリッドモデルも用意されています。こちらの車両価格は852万円です。
 
●メルセデス・ベンツ E350deアバンギャルドスポーツ
・車両価格(消費税込):875万円
・試乗車車両価格(消費税込):921万4000円
・全長:4923mm
・全幅:1852mm
・全高:1475mm
・ホイールベース:2939mm
・車両重量:2080kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボチャージャー
・排気量:1950cc
・エンジン配置:フロント縦置き
・駆動方式:後輪駆動
・変速機:9速AT
・最高出力(エンジン):194馬力/3800rpm
・最大トルク(エンジン):400Nm/1600−2800rpm
・最高出力(モーター):306馬力
・最大トルク(モーター):440Nm
・最高出力(システム合計):306馬力
・最大トルク(システム合計):700Nm
・0-100km/h:5.9秒
・最高速度:250km/h
・最高速度(EV):130km/hオーバー
・公称燃費(WLTC):na
・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式、(後)ダブルウィッシュボーン式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)245/40R19、(後)275/35R19
・ホイール:(前)7.5Jx18、(後)8.5Jx18

最強のPHEV、メルセデス・ベンツ「E350deアバンギャルドスポーツ」のすべて

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2件のコメント

  1. 車重2080kgは重すぎる!(W221の550ですら1950kg)私がE220Dの購入を見送ったのはロードクリアランスの少なさが原因
    115mmと言う数値は酸化触媒の配管か?
    システム重量の関わりか?
    実はこの配管の都合でマフラーは実は2本出しではない一本出しで上手くバンパーデザインで2本出しを演出はしているがw
    確か?本国ではCクラスと共に300DEで発売されたのではなかったかな?
    何れもS300hと比較するのは邪道だね。
    私はS300hやガソリンS400hのエンジンが主役のハイブリッドが理想だと思うけど日本市場はトヨタマジックに犯されているのでダメだろうねw
    追って同じプラットフォームのC350deの導入を望みたいが実現するだろうかな?
    ただPHVの必要性は無いかもね。
    どうせならS400Dの直6を移植してE400Dのほうが良さそうだけどね
    それとベンツは車両価格に目を奪われると痛い目に会うからね
    付属するメルセデスケアに加え延長保証などの勧誘、オプションカラーが大半で結局は900万なら乗り出しで1000万は越えるだろうね。
    私はこれが嫌で支払い総額600万のS400hの認定中古を下取り価格急降下承知で購入したが概ね満足してます。
    だってEクラスよりハンドル切れるし曲がるし違和感の無い脇役ハイブリッデシステムが何より最高だからね。

  2. 確かに654エンジンは1949ccだがE220Dではなかったかな?
    このE350deの発表と共に変わったのかな?
    自分のS400hも3500ccだよ

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