事故後に使用者「音信不通」 個人間カーシェアでトラブル増加も運営各社の対応は?
クルマを所有する人が愛車を交換!? 斬新な個人間カーシェアが誕生
個人間カーシェア各社は、それぞれ貸し手も借り手も安心して利用できるような対策を講じていますが、近年、多発しているのが「保険適用外」「免責分の支払い」など、保険金支払いの対象外となるトラブルです。
1日型自動車保険の多くは、保険適用の事故を「走行中」(信号待ちの停車は走行中に含まれる)に限定しており、「クルマの盗難や停車中の当て逃げによって生じた損害」などには対応していません。
これらの事故の損害は、原則として借りた人が全額補償することになります。借りた人が自車で加入する自動車保険の「他車運転特約」はレンタカーにも使えますが、こちらも多くが「走行中」の事故に限っています。
また、1日型自動車保険の多くは、車両や対物保険に10万円から15万円の「免責」金額が設定されています。免責10万円で修理代7万円が掛かった場合、その金額は免責金額以下となるため、保険は適用されません。
この場合は借りた側が貸した側のオーナーに直接支払うことになります。スムーズに支払ってくれれば良いのですが、「支払います」といった後でいつまでたっても支払いがない、または催促してもブロックされて連絡が取れないといった例も多発しています。
その際、運営会社が間に入って解決に導く例は稀で、ほとんどが「ユーザー間で解決してください」という状況になるようです。
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2019年12月10日にこれまでにないユニークなカーシェアアプリとして、株式会社電通が展開する「カローゼット」が正式にスタートしました。
この新サービスは、クルマを所有する人に会員を限定するところが斬新で、クルマを借りる際には自分の愛車で相手の家や駐車場に行き、借りている間は愛車を相手の駐車場に置いておきます。
オーナーどうしで愛車を一時交換する形になるため、安心度が高いシステムといえるでしょう。
また、カローゼットでは会員登録時に自動車保険(車両保険への加入が条件)証書の画像を登録することになっており、事故などの際には各オーナーの自動車保険に付帯された「他車運転特約」を使う流れとなります。
他車運転特約は自分のクルマに対する補償内容がそのまま他車にも適用されますが、車両保険の上限は借りたクルマの「時価相当額」となります。
自車の車両保険が200万円で、相手のクルマの時価額が300万円だったとしても差額100万円が保険でカバーされることになります。
クルマはちょっとこすっても数万円の修理費がかかります。個人間カーシェアリングはこれからも普及が進むことが予想されますが、トラブル発生時の対応もしっかり確認しておきましょう。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
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