目の付け所は良かった!? 時代にウケなかった車5選
国内メーカーはこれまで多くのクルマを開発、販売してきました。そして売れなかった車種は、どれだけ良いクルマでもモデルチェンジすることなく1代で生産を終了します。そこで、目の付け所は良かったのに時代に合わずイマイチ売れなかった、そんなクルマを5車種紹介します。
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クルマの開発には莫大な費用と時間が掛かることから、売れなかったら会社は大きな損失を被ることがあります。そのため開発スタッフやデザイナーは、より良いものを作るために日夜努力します。
しかし、現実は販売が低迷してしまうクルマも存在し、1代限りで生産を終えるケースがあることから、新型車開発は難しいということでしょう。
今回は、目の付け所は良かったけど売れなかった、時代にウケなかったとされる車種を5車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「S-MX」
1996年に発売されたホンダ「S-MX」は、若年層をターゲットに開発されました。当時ホンダは「クリエイティブムーバー」というコンセプトのもと、「オデッセイ」や「CR-V」「ステップワゴン」に続くシリーズ第4弾としてS-MXが登場します。
外観はいわゆるトールワゴンタイプで、運転席側が1ドア、助手席側が2ドアの変則4ドアハッチバックとなっています。
シャシはステップワゴンと共有で、ショートホイールベース化して対応。室内は「セミダブルベッド」に近いサイズのフルフラットになる前後ベンチシートの4人乗りで、後に5人乗り仕様が追加されます。
また、カスタマイズカーを意識した、車高が15mm下げられた「ローダウン」モデルも当初からラインナップされるなど、多くの若者から高評価を得ました。
しかし、ミニバン人気のなか販売は徐々に低迷し、2002年に1代限りで生産を終了。同様なコンセプトで後発のトヨタ「bB」がヒットしたことを考えると、出るのが早すぎたのかもしれません。
●マツダ「ランティス」
1980年代の終わりから1990年代にかけてマツダは販売チャネルを5つに拡大し、車種を増やして販売増を狙う戦略をとりました。
その真っ只中の1993年に「ランティス」が発売されます。
ランティスは4ドアセダンと5ドアハッチバックの2タイプのボディで、デザインはどちらも流麗でいまのクーペセダンのようなイメージです。
全長4245mm×全幅1695mm×全高1355mm(ハッチバック)のボディに搭載されたエンジンは、1.8リッター直列4気筒DOHCと2リッターV型6気筒DOHCの2種類で、当時、このクラスでV型6気筒エンジンはかなり珍しい存在でした。
シャシは「ファミリア」などとは共有せずにランティス専用とされ、1996年には、国内の安全基準を評価する自動車アセスメントで衝突安全基準適合第1号に認定されるなど、開発にはかなりコストがかかっていたと思われます。
また、全日本ツーリングカー選手権(JTCC)にV型6気筒エンジンで参戦するも、レースで好成績を残すには至らず、速さのアピールには繋がりませんでした。
一定の評価はあったものの、同世代のファミリアと比べて奇抜なデザインだったためか販売は低迷し、1997年に販売を終了します。
●日産「ラシーン」
日産は1987年に初のパイクカー「Be-1」を発売。その後「パオ」「フィガロ」とパイクカーシリーズが続き、大人気となりますが、この3車種の生産を請け負っていた高田工業製の新型車「ラシーン」が1994年に発売されます。
ラシーンは1993年の第30回東京モーターショーにコンセプトカーとして出展された際、ユーザーから市販化の声が多く寄せられ、量産化されます。
このモーターショーでは、RVと呼ばれた本格的な4WD車から現在のSUVへの変化が始まり、ラシーンもその流れから出展されたといいます。
デザインは一見、本格的4WD車のようなイメージですが、7代目「サニー」のシャシをベースにしていたため、全グレードが4WDながらも悪路走行には不向きとされていました。
ラシーンは使い勝手の良いステーションワゴンタイプの4WD車だったものの、ヒット作とはいえず、2000年に生産を終了します。
しかし、絶版車となってからスタイルなどが再評価され中古車が人気となり、いまではラシーンを専門に扱うショップもありますから、やはり出るのが早すぎたのでしょう。
ホンダZも入れて欲しかった…