ホンダが軽トラ市場から撤退! それでも「無敵車」軽トラに需要があり続ける理由とは
ホンダが2021年に軽トラック市場から撤退すると報じられましたが、地方のユーザーの声に耳を傾けてみると軽トラックにはまだまだ需要が存在するといいます。都市部の居住者をはじめ、軽トラックになじみのない人もいるなかで、軽トラックにはどのような強みがあるのでしょうか。
ホンダの撤退で激変!? 軽トラック市場はこれからどうなるのか
ホンダが、2021年に「アクティ・トラック」を生産終了するというニュースが2019年10月に流れて、インターネット上で一気に注目が集まる軽トラック。そんななか、筆者(桃田健史)はスズキ「スーパーキャリイ」に3日間試乗をおこないました。
一般家庭ではあまり馴染みのない軽トラックですが、改めて軽トラックとはどういう乗り物なのでしょうか。実際に乗って確認しました。
筆者は、福井県永平寺町が任命する、交通や町づくりに関する政策アドバイスを行う特命任務「エボリューション大使」として、最近は国や県、そして全国各地の市町村の関係者と意見交換する機会が多くなりました。また、小型EVやハンドル形電動車いす(シニアカー)など、パーソナルモビリティのあり方についても関係各所と協議を続けています。
そうしたなかで、よく耳にするフレーズがあります。「結局、(パーソナルモビリティは)軽トラックには敵わない」、というのです。
軽トラックの主戦場は、やはり農家です。農作物や、草刈り機、小型耕運機を載せたり、また買い物や通院、駅まで子どもの送り迎えなど、農家など地方の自営業者にとって軽トラックは「生活車」なのです。降雪地域では4WD (四輪駆動)の軽トラックが必須アイテムになっています。
貨客混載を可能とするオールマイティな存在で、しかも低燃費で故障も少ない軽トラックは、地方生活では「無敵モビリティ」と考えている人が多いのです。
そんな軽トラックですが、市場としては近年、縮小傾向にあります。
軽自動車といえば、ホンダ「N-BOX」、ダイハツ「タント」など、軽乗用車が一般家庭で使われる機会が増えてきました。軽全体の販売台数は年間約200万台で、これは日本国内市場全体のおよそ4割です。
さらに軽市場の推移と、その中身を見てみると、1970年代までは市場の約半分が軽トラックを含む軽貨物で占められていました。それが80年代以降に軽乗用車の売り上げが伸びる一方で、軽トラックの販売台数は頭打ちが続き、2000年代に入ると徐々に減少。直近の2018年では、軽四輪貨物車は約42万8000台となっていて、そのなかで軽トラックは約18万6000台と、軽市場全体の1割以下にまで落ち込んでいる状況です。
この20万台弱の市場に、製造者としてスズキ、ダイハツ、ホンダがいて、またスズキとダイハツが、トヨタや日産など大手自動車メーカーにOEM供給していますが、2021年にホンダが抜けます。
ホンダは2019年4月に、農機などを扱う汎用機器部門とロボティクス部門が融合して、ライフクリエーション事業部を立ち上げました。生活車としての存在価値が高い軽トラックについても社内組織のなかでの在り方を見直す時期なのかもしれません。
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