車の改造でうっかり違反行為!? カスタムで車検に通らなくなる意外な落とし穴とは

クルマの楽しみ方のひとつに、パーツ交換をはじめとしたカスタマイズがありますが、違反行為をしたつもりがなくても、うっかり適正ではない改造に該当してしまう場合があるといいます。いったい、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。

クルマの不正改造のなかには「車検証記載の数値」が関係しているものも

 クルマを所有・維持していくうえで、車検は欠かすことができません。これは、日常の使用において「整備されていて安全に運行できる状態」を保つためのものとして義務付けられているものですが、その基準のなかには「違法な改造をしていないこと」も含まれます。

 クルマをカスタマイズするうえで、車検不可になりかねない改造とは、いったいどのような内容を指すのでしょうか。

クルマのカスタム、どこまでOK?(写真はイメージ)
クルマのカスタム、どこまでOK?(写真はイメージ)

 今回は、東京都・足立区の自動車販売店「モトーレン足立」で、整備資格を保有する店長の小林氏に、車検に適合する改造範囲について話を聞きました。

 クルマのカスタムとして人気の手法が、ホイールやタイヤの交換です。

 大抵は「インチアップ」と呼ばれるホイールサイズをアップさせるケースが多いのですが、ここで重要なのは、純正タイヤ(ホイールにタイヤを組んだ状態)の直径(外径)がひとつの基準になることだといいます。

 ホイールサイズを1インチ大きくしたら、タイヤの厚みを減らす(タイヤの扁平率を低くする)ことで外径内に収める必要があると、小林氏は説明します。

「ホイールとタイヤを交換して外径が変わると、スピードメーターの誤差が大きくなります。車検の検査項目である『スピードメーター検査』では『-22.5%から+6%以内』の誤差に収めなければなりません。

 ホイールハウス(タイヤが収まっている部分)に入るからといって、純正サイズ以上の外径になるホイールとタイヤでは、車検は通らなくなります」

 大きいホイールは格好いいのですが、メーター誤差を超えるサイズの外径を確認してから、サイズ内に収まるホイールとタイヤを選ぶ必要があるということです。

 外径以外にも、横方向へのはみ出しをはじめ、タイヤに関してはさまざまな保安基準があります。

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 最近は純正で装着されている車種も増えた「ウインドウフィルム」(純正の場合はプライバシーガラス)。

 夏場の直射日光による車内温度上昇を抑えるだけでなく、後方から車内が見え過ぎるのを抑える、プライバシー保護の観点で好む人も多くいます。

 この装備の基準について、小林氏は次のようにいいます。

「車検では『車内から安全に車外を確認できる』視認性が求められています。具体的には『可視光線透過率』と呼ばれる視認性の基準が70%以上のものであることが必要です。

 そして後部座席側面のガラスやリアウインドウに限っては、『可視光線透過率』が高いフィルムでも車検自体は通りますが、後方視界を確保することを考えると、あまり暗いフィルムはおすすめしていません」

 可視光線透過率に関しては、そもそも何もフィルムを貼らないガラスであっても、可視光線透過率が100%であることはありえないことから、慎重にフィルムを選択することが必要です。

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 最近ではSUVやミニバンをカスタムする人も多いです。このとき、カスタムのつもりはなくても、使い勝手がいいように純正サードシートを取り外してしまった人は、次回の車検時に「構造変更」の申請が必要になってしまいます。

「ミニバンやSUVのサードシートは座面が小さめな場合もあるので、ラゲッジスペースを拡大させるために取り外してしまう人もいます。しかし、車検証に記載された『乗車定員数』分のシートがない場合は、『構造変更』を申請する必要があります」(小林氏)

 ほかにも「HID化させたヘッドライト」などが原因で、調整不良などの理由で車検NGになることもあるといいます。

 それでも、車検に適合するパーツを探して、自分好みに愛車を仕上げていくのも立派なカーライフの楽しみ方です。ルールを守ったうえで、カスタムを楽しむのも十分アリだといえるでしょう。

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Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ

2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。

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