高級SUVに匹敵!? スズキ「ジムニー」オーナーが解説する「ジムニーシエラ」の長所とは?
やっぱりジムニーとは別物? ジムニーシエラの特徴とは
結論からいえば「ジムニーシエラは、ジムニーとはまったく別物」という感想です。
技術的には、2車の共通点は多いです。ラダー(梯子型)フレームやボディ、そして内装デザインは基本的に同じ。外観デザインはオーバーフェンダーの有り無しによるバンパー周りの意匠の違いとタイヤ・ホイールのサイズ違い。もっとも大きな違いは、エンジンで、ジムニーは軽規格なので排気量が660ccとなっているのに対して、ジムニーシエラは1.5リッターです。
実際、2車の開発責任者・米澤宏之氏には何度かインタビューしていますが「エンジンとタイヤ以外は、基本的にほとんど一緒」といいます。
ところが、1年以上ジムニーを所有してから改めてジムニーシエラに乗ると、「これは、全然別のクルマだな」と思ったのです。
まずは、見た目です。とにかく「とても大きく」感じます。オーバーフェンダーの有り無しで、車格がいっきに上がる感じです。また、乗降するときにサイドステップへ目がいくので、なんだか乗降位置が「かなり高い」と錯覚するほどです。
外観を見てから運転席に座ると、頭に残像があるため、がっしりとした形状の大きなクルマに乗っているような気持ちが強くなります。フロントガラス越しにはオーバーフェンダーは直接見えないのに、です。
直感的には200万円ではなく、500万円級のクルマに乗っている気分です。そう思えるほど、ジムニーシエラは登録車として唯一無二な存在です。
走り出すと、ジムニーに比べて「ズシ~ン」と動くイメージ。ボディ形状の大きさと1.5リッターエンジンによる重量増が、シエラの車格を上げています。
アクセルを踏み込むと、1.5リッターエンジンの低回転域からのトルクを感じます。トルクが太い、というほどでもありませんが、ジムニーの660ccターボに比べてトルクの立ち上がりが明らかに早く感じます。
こうしたドッシリかつ、ガッシリな乗り出し感ですが、ハンドリングはけっして重いという印象ではありません。どちらかというと、ジムニーの方が路面からのクルマへの入力に対してパワステの切り出しがガッシリしています。
そのうえで、コーナーでの動きのトレース性は、ジムニーに軍配が上がると思います。これは、車重差とタイヤの違いによるものです。ジムニーシエラは縦方向の動きはジムニーに比べて緩やかですが、タイヤ幅がある分、路面からの微振動を拾います。
舞台を高速道路に移すと、トレース性に加えて、直進安定性についてもジムニー優位の印象です。
ただし、当然ですがエンジンへの負担は排気量の差でシエラの方に余裕があります。時速100kmでジムニーシエラは約3000rpm、ジムニーは約3750rpm。シエラは2000rpmから3000rpm強が常用域ですが、ジムニーは3000rpmから4500rpmまで上がります。
ただし、ジムニーで4500rpm程度回していても、車内で音や振動が気になるレベルではありません。
こんな感じで3日間、気が付けば約300kmもシエラで走ってしまいました。さて、困りました。「やっぱりシエラもいい、どうしよう……」
発売から1年3か月、自動車雑誌や自動車情報サイトではシエラの納期が2年近いといった記事を目にしますが、実際には、モデルや外装色などによって納期にはかなり幅があるようです。
ジムニーか、それともジムニーシエラか。迷っている人がいたら「2車は別物」と再認識したうえで、どちらにするかじっくりと考えてほしいと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
結局、シエラがどんな車か、この記事を読んでもまったくわからない。素人以下か、この筆者。
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