「ハイ、メルセデス」で馴染み深くなった? 車の音声認識はなぜ急速に精度が上がったのか

収集した音声データの行方は?

 なぜ、こうした高度な音声認識が可能なのでしょうか。

ディスプレイオーディオを装備したトヨタ新型「カローラ」の内装
ディスプレイオーディオを装備したトヨタ新型「カローラ」の内装

 筆者(桃田健史)は音声認識技術を開発する米大手企業のシリコンバレーなどの研究所を取材したことがあります。そこで主任研究員が説明したのが、「自然言語理解(NLU)」という考え方です。

 人間の言語には基本的に同じ要素があり、日本語、英語、中国語など言語が違っても言語を理解する手法は同じだといいます。

 そのうえで、NLUを使って解析したデータをもとに、レストラン検索サイトや天気情報サイトなど、既存のデータソースと連携することで、音声認識の精度を一気に上げているのです。

 では、こうして集まられた個人データはどこにいってしまうのでしょうか。

 基本的には自動車メーカーが個人を特定しないことを条件に集約しています。こうしたサービスを受ける際、ユーザーは個人情報の取り扱いについて承認をしてから使用することになります。

 このほか、スマートフォンと車載器をつなぐ、AppleCarPlayやAndroidAutoがあり、これらの音声認識では個人データはアップルやグーグル(親会社:アルファベット)に管理責任があります。

 こうした大手IT企業による個人データ保護については、欧州での独占禁止法との関係性など、さまざまな議論があるところです。

そういえばあったね! クルマの音声認識のボタンの写真などを見る(27枚)

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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