最近のハンドルは円ではない!? 軽やコンパクトカーでもD型ハンドルが増えている理由
運転席に座って、必ず触れるのがハンドルです。これまでは円型が定番でしたが、下の部分が直線になっている「D型ハンドル」を採用するクルマが増えています。D型ハンドルはどんな経緯で誕生したのか、また、メリット・デメリットはどのようなものなのでしょうか。D型ハンドルを採用しているクルマのオーナーにも使い勝手や操作性などを聞いてみました。
実用性よりスポーティなイメージの演出が目的?
これまで円型が当たり前だったクルマのハンドルですが、「D型」と呼ばれる形のハンドルを採用したモデルが増えています。
D型ハンドルは、ハンドルの下部が直線になっており、スポーティな印象です。ほかにも楕円形のハンドルを搭載したモデルも存在するなど、形状のバリエーションも増えています。
なぜD型ハンドルを採用するクルマが増えているのでしょうか。
D型ハンドルは、20年近く前からF1マシンに採用されており、狭いコクピットのなかでも素早いハンドル操作を可能にするためと、ヒザまでのクリアランスを確保するために考案されたのがルーツといわれています。
その後、フェラーリやメルセデス・ベンツのスポーツライン「AMG」など、高級スポーツカーで採用され、レーシーな雰囲気をもたらすデザインが評価されて徐々にほかのメーカーでもスポーティなモデルを中心に、スペシャルな雰囲気感を演出するアイテムとして搭載されています。
ハンドルは、どれくらいで左右回しきれるか(ロック・トゥ・ロック)を示すステアリングギア比の数値が低いほど、クイックな反応といわれています。
その目安は、普通のセダンなどが16:1から17:1程度のギア比に対し、スポーティモデルでは13:1から15:1になっており、ちょっとハンドルを操作するだけでもクイックに反応してくれます。
それでも車庫入れなどで目一杯ハンドルを切るためには、市販車の場合は2回転半から3回転させる必要があり、どこを握っても変わらない円型のほうが回しやすのではないかという考え方もありますが、やはりデザイン性も重視される現代において、スポーティなD型ハンドルはクルマの個性のひとつになっているといえるでしょう。
現在、輸入車に多く採用され、フォルクスワーゲンではコンパクトカー「up!」からセダン「アルテオン」まで、プジョーではコンパクトカー「308」もD型を採用。
国産車においては、スバルは「WRX」や「レヴォーグ」といったスポーティなモデルはもちろん、ホンダは「S660」に軽自動車初のD型ハンドルを採用しています。さらに、日産では、コンパクトカー「ノート」だけでなく、ミニバン「セレナ」もD型ハンドルになっています。
トヨタは、楕円形のステアリングをコンパクトカー「アクア」や先代「プリウス(現行モデルは円型ステアリング)」「シエンタ」に採用し、そのどれもが実用性よりデザインを優先させています。
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