高速道路でも「オモテナシ」!? 免税店や礼拝所も揃えるSAPAの最新インバウンド施策とは
近年増加する外国人観光客への対応が、高速道路のサービスエリア・パーキングエリアにおいても進められています。現在はどのような状況なのでしょうか。
外国人観光客が高速道路で巡る「ゴールデンルート」とは
日本を訪れる外国人観光客(以下、訪日外客)の数は、2000年以降急増しています。日本政府観光局(JNTO)によると、2003年に約520万人だった訪日外客数は2013年に1000万人を超え、2018年にはついに3000万人を超えました。
日本を観光する際の交通手段で近年、とくに人気なのが大型バスによる移動です。それに伴い、高速道路のサービスエリア・パーキングエリア(以下、SAPA)におけるサービスも変化しているといいますが、いったいどういった状況なのでしょうか。
国土交通省の調査によると、訪日外客の9割近くが鉄道と大型バスを使って移動しており、関東と近畿圏では鉄道がバスを上回っています。しかし、他のエリアではバスでの移動が5割から6割を占め、四国や沖縄ではレンタカーの利用が多くなっています。
とくに人気があるのは、高速道路を使って『ゴールデンルート』を巡るスタイルです。
ゴールデンルートとは、訪日外客、とくに初めて日本を訪れる旅行者にとっては定番となっている観光ルートのことで、『東京~箱根・富士山周辺~名古屋・京都~大阪』を意味しています。
ルート内にある高速道路のSAPAでは、年々増加するインバウンド対応の施設やサービスが増えており、外国人観光客から大好評を得ているようです。
ゴールデンルートを擁する、NEXCO中日本管内のSAPAを管理する中日本エクシスに尋ねたところ、次のように話します。
「快適にサービスエリアをご利用いただけるよう、施設案内ピクトサイン、フードピクトサインやフリーWi-Fiの設置に取り組んでいます。また、コンシェルジュでは翻訳アプリを活用し、外国語に対応したご案内にも取り組んでいます」(中日本エクシス広報担当者)
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筆者(加藤久美子)がSAPAのインバウンド対応についての記事を書こうと思ったきっかけは、「給湯器」です。モーターショーなどの取材で、これまで何度か中国を訪れていますが、その際に目についたのが空港や大規模フードコートで頻繁に見かける給湯器でした。
中国ではお湯は体に良い(冷たい水はお腹を壊す)という伝統から、お湯を好む文化があり、「体を冷やさないように」という意味もあって冷たい飲み物は敬遠されます。
そこで、旅行をする際などは保温ボトルを持ち歩いて、空港や街中の給湯器でお湯を入れたり、持参した茶葉を入れたりして水分補給をする習慣があるのです。
海老名サービスエリアでこの給湯器を見つけた際、「これは中国人のお客さん向け?」と驚いて取材を進めてきました。前出の担当者は次のように説明します。
「給湯器は現在、東名高速の海老名SA(上り線)、新東名高速の駿河湾沼津SA(上下線)、静岡SA(上下線)、浜松SA(上下線)などに設置されています。
サービスエリアでは給茶機でもお湯を提供しているため、中国人のお客さまがお湯を貰うために給茶機を占有してしまい、中国人以外の方が利用出来ない事象が発生しております。
弊社では多様な文化圏からのお客さまの受入体制(インバウンド対応)の整備の一環として、お湯を希望する中国人に対して専用の給湯設備を設けています。
こちらに誘導することで、給茶機を利用したいお客さまにご不便が掛らないようにするため、一部中国人の立ち寄りが多いエリアで給湯設備を設置したものです」
専用給湯器の設置は中国人観光客へのサービスであると同時に、給茶機を利用したい日本人利用者への配慮でもあるようです。
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