なぜトヨタは華あるF1ではなくラリー参戦? 苦戦続いた欧州市場も好調な理由に「WRC」?

F1からWRCへ トヨタがモータースポーツ活動の方針を大転換した訳とは?

 なぜトヨタは、F1でなくWRCに復帰したのでしょうか。それは、豊田章男社長の「肌感覚」だと思います。

WRC2019年第10戦ドイツに参戦するトヨタ「ヤリス WRC」
WRC2019年第10戦ドイツに参戦するトヨタ「ヤリス WRC」

 それまではレース派だった章男社長がラリーと出会ったのは2012年5月のことです。

 メガウェブでおこなわれていた雑誌のイベント中、トヨタ「86」で全日本ラリーに出ている勝田範彦選手の隣に乗る機会がありました。すると勝田選手、スピンターンを含め、遠慮なく章男社長を振り回します。

 降りてきて、驚いているかと思いきや「運転してみてもいいですか」。これには観客を含め一同びっくりしました。一番驚いたのはトヨタ関係者です。

 以後、ラリー車に乗る機会や、ラリー車でコースを走ることになり、やがて「もっと良いクルマを作るためWRCに出よう」「道がクルマを鍛える」というコメントも章男社長から出てきます。

 確かに、WRCはさまざまな舗装路から砂利道、雪道に至るまで、一般道をコースとして速さや強さを競います。結果的に良いクルマが作れるという判断をしたのでしょう。

 加えてヨーロッパでは観客も無料で競技を楽しめるため、ブランドイメージだって構築できます。ヨーロッパでは、もっともラリー人気が低いといわれるドイツですら、驚くほどたくさんの観客が集まります。

 このような状況を章男社長は総合して判断したと聞きました。WRCを見たことの無いほかの自動車メーカーのTOPだと、理解することすら出来ないでしょう。

 興味深いことに、WRCへの復帰を表明した2015年から、早くもヨーロッパにおけるトヨタの販売台数が上向きになります。ただ、長いブランクを埋めるのは容易ではなかったようです。

かっこよすぎるヴィッツ現る!! 大活躍するトヨタの「ヤリス WRC」(画像30枚)

「えっ!カッコいい!」 マツダの「スゴいSUV」登場! どこが良いの?

画像ギャラリー

Writer: 国沢光宏

Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。

1 2

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー