マツダ初の量産EV2020年投入へ 試作車試乗で見えたマツダの方向性
マツダは、同社の電動化技術を盛り込んだ新型電気自動車の量産モデルを、2019年10月の東京モーターショーで公開すると発表しました。市場への導入は2020年が予定されています。今回、量産モデルにもちいられるパワートレインを搭載した試作車が公開されましたが、マツダがいま電動技術に力を入れる理由とは、いったいなんでしょうか。
なぜいまEV本格導入? マツダがとりくんできた電動化ビジョンとは
昨今、自動車業界のトレンドは、電気自動車やハイブリッドカーに代表される「電動化」です。かつてはディーゼルエンジンの普及を推進し、電動化に懐疑的だった欧州メーカーも、いまでは方針を転換。電動化は、重要な経営課題のひとつとなっています。
そんななか、現在も「内燃機関の理想の追求」にこだわっているマツダが、同社の電動化ビジョンを形にした電気自動車「電動技術検証車両(e-TPV [Technology Prove-out Vehicle] )」を発表しました。いったいなぜ、マツダはこのタイミングで電気自動車をお披露目したのでしょうか。
自動車業界は、現在電動化に向けた大きな転換期となっていて、欧州ではCO2排出削減を目的とする燃費規制が導入され、北米ではゼロエミッション規制、中国では新エネルギー車(NEV)規制、日本では2050年までに乗用車の温室効果ガス9割削減を目指す長期ビジョンなど、さまざまな取り組みがおこなわれています。
そんななか、「マツダ3」に搭載予定のガソリン圧縮着火エンジン「スカイアクティブX」に代表されるように、マツダは現在も「内燃機関の理想の追求」にこだわっています。
そのような姿勢からか、「マツダは電動化に否定的」、「ガラパゴス化」、「時代遅れ」などと揶揄する人もいますが、それは大きな間違いです。
いまから12年前の2007年、マツダは技術開発の長期ビジョン「サスティナブル“Zoom-Zoom”宣言」を発表しましたが、その中のひとつである「ビルディングブロック戦略」にはこのように記されていました。
「クルマの基本性能を決めるエンジンや車両の骨格など、ベース技術を徹底的に改善し、その上で電気デバイスを組み合わせることで、CO2の総排出量を大幅に削減する」
あれから12年、筆者(山本シンヤ)は、今回ノルウェー・オスロで行なわれた「マツダ・グローバル・テック・フォーラム2019」に参加しました。その目的は、マツダが考える電動化ビジョンをかたちにした電動技術検証車両(以下、e-TPV)の試乗のためです。
ノルウェーはEVシェアが5割を超える「EV先進国」で、街中には世界中のEVが勢揃い。マツダ自身も「EVの使用環境を学ぶにはピッタリな地域」だと語っています。
マツダがこのタイミングでEVをお披露目した理由は単純明快で、「電動化の準備が整った」からです。ここではその詳細を紐解いていきたいと思います。
今回試乗したe-TPVはマツダの電動化ビジョンの中でもっともベーシックな構成となる「ピュアEV」です。見た目はSUVの「CX-30」ですが、あくまで“仮の姿”となります。
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