ワゴン車の人気が低迷!? 国産ステーションワゴンが激減している理由とは

ハイブリッドやSUVのブーム到来で風向きが変わった

 2000年代後半になると、ハイブリッド車のブームが到来します。燃費が良いことが重要になってきたのです。

 そして2009年には、長年販売ランキング1位を守っていたトヨタ「カローラ」を退け、「プリウス」が最も売れるクルマになります。

ステーションワゴンで一番人気のホンダ「シャトル」
ステーションワゴンで一番人気のホンダ「シャトル」

 このような状況になったとき、荷室の広さと走りの良さで売っていたステーションワゴンは流行遅れに見えたのでしょう、この頃に数多くのステーションワゴンが廃番となりました。

 そして、つぎにきたのはSUVブームでした。SUVには、荷物がたくさん載せられたり、走りはミニバンよりも良いといった、ステーションワゴンに近い魅力があるだけでなく、さらに舗装路だけでなく雪道などにも強く、背が高いので運転しやすいという特徴もあります。

 似たようなものであれば、新しいものになびくのが世間様というもの。なかなかステーションワゴン復権という風向きにはなりません。

 燃費ファーストの時代を経て、SUVブームの到来。こうした時代の流れはステーションワゴンにとっては逆風そのものですが、ステーションワゴンのニーズが消え去ったわけではありません。

 商用車としては、いまもトヨタ「プロボックス/サクシード」はベストセラーを守り続けています。また、走りの良さを売りにするドイツブランドのステーションワゴンは今も健在です。

 ドイツは速度無制限のアウトバーンがありますから、荷物をたくさん積めて、なおかつ走行性能の高いステーションワゴンは、なくてはならない存在です。そうした走りの良さを求める日本のユーザーの受け皿として、ドイツ製ワゴンが機能しているといえるでしょう。

 一方で、実際の国内販売で健闘しているステーションワゴンも存在します。それが、ホンダ「シャトル」と、スバル「レヴォーグ」です。

 シャトルは、コンパクトカーである「フィット」のバリエーションの「フィットシャトル」からの発展版です。コンパクトでありながら、しっかりと使える広い荷室を備えているのが特徴です。現行モデルは2015年に登場していますが、2019年5月にマイナーチェンジを実施し、内外装をリフレッシュしました。

 マイナーチェンジ前の2019年4月の販売台数は657台で月間販売ランキングは47位でしたが、マイナーチェンジ後は5月が27位(2666台)、6月が22位(3294台)、7月も22位(3719台)とランクアップ。7月の前年比販売比率は290.1%を記録しました。

 シャトルがヒットした理由について、ホンダは次のように説明します。

「シャトルの特徴は4つあります。まずは、5ナンバーで、取り回しが良いことです。次に荷室が広い点で、後席を倒せば奥行は最大184cmにもなり、シートアレンジも豊富です。

 そして、上質感も人気の秘訣といえます。荷室が広いというと商用っぽい印象があるかもしれませんが、今回のマイナーチェンジで質感がアップしたので、普段乗りで質感よく乗っていただけるはずです。

 そして最後にあげるのは、安全運転支援システムのホンダセンシングが全車に標準装備されているということです。今回のマイナーチェンジでオートハイビームを追加して、サポカーSワイドとなっています」

 ホンダには、シャトルより格上のモデルとして、「ジェイド」というステーションワゴンも存在します。こちらは走りの良さが売りで、シャトルは走りよりも荷室の広さが売りといえます。という意味でユーザーは、荷室の広さでシャトルを選んでいるのでしょう。

 スバルのレヴォーグは、2019年1月から6月の販売ランキングで46位(6285台)。素晴らしいという数字ではありませんが、ステーションワゴン専用モデルとしては、シャトルに次ぐ順位です。

 レヴォーグのデビューは2013年で、すでにモデル末期ともいえそうな時期でありながら、50位内にコンスタントにキープしているのは立派です。実質的なレガシィツーリングワゴンの後継車として、走りの良いステーションワゴンが好きという人のニーズに応える存在といえるでしょう。

※ ※ ※

 日本市場でこれからステーションワゴンのブームが到来するかと聞かれると、それは難しいというのが正直なところです。ただし、荷物がたくさん載りつつも走りの良いクルマが欲しいというニーズは無くなることはないでしょう。

 ブームはないけれど、確実に一定数のファンが存在するというのが、これからのステーションワゴンの姿といえそうです。

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Writer: 鈴木ケンイチ

1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。

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