何のため? 意外と多い「タイヤを浮かせて走るトラック」その理由とは
高速道路を走っていると稀に見かけることがある「タイヤを浮かせて走っているトラック」。なぜ浮かせて走っているのか疑問に思ったことはないでしょうか。今回は、浮かせているその理由とメリットについて解説していきます。
重い荷物を積むために複数の車軸・タイヤを持つ大型トラック
お盆のような大型連休の高速道路で微動だにしない渋滞にハマってしまったとき、ふと隣のレーンにいる大型トラックを見ると、タイヤの一部が浮いていた。こんなシーンを見たことがある人も少なくないのではないでしょうか。
じつはこれ、サスペンションの故障などではなくれっきとした装備のひとつです。タイヤを道路から浮かせることで、さまざまなメリットをもたらしてくれる秘密兵器。
一般的な乗用車は前後に2つの車軸を持ち、それぞれ左右に1本ずつのタイヤという4本で車両を支えていますが、たくさんの荷物を積むトラックでは2トンクラスでも後輪がダブルタイヤとなり合計6本のタイヤが付きます。
そして、2トントラック以上に大きく重い荷物を積む大型トラックでは、最大積載量に応じて車軸も増えていきます。これは道路交通法で積載重量に対する車軸数が定められているからであり、搭載できる最大積載量に対してタイヤのキャパシティーが超えないようになっているというわけです。
しかし、これはあくまでも荷物を積んだときの話であり、空荷のときは当然タイヤにかかる負担は軽くなります。そんなときに必要のない車輪を浮かせてタイヤを地面に接地しないようにすることで、さまざまな負担を軽減させようというのが、「リフトアクスル機能」なのです。
■リフトアクスル機能でタイヤを浮かせることのメリットとは
リフトアクスル機能によってタイヤを浮かせることで得られるメリットは少なくありません。第一にタイヤが地面に接地していないため、当然タイヤが摩耗することを防ぐことができます。さらに当然ブレーキング時も浮いている車輪は影響を受けませんから、ブレーキ周りの消耗も抑えることができます。
また、接地しているタイヤの本数が減ることで走行抵抗が減少するため燃費も向上しますし、カーブや交差点を曲がるときも抵抗が減ることで回頭性がアップするというメリットも存在します。
■最大のメリットは、高速道路の料金区分が変わること
そして、最大のメリットとなるのが、「高速道路料金の低減」です。
高速道路には「軽自動車・二輪車」、「普通車」、「中型車」、「大型車」、「特大車」と料金区分が分かれていることがほとんどで、車軸数の合計が4車軸以上のトラックは「特大車」となります。
しかし、ここでリフトアクスル機能を使って1軸を浮かせることで、“4車軸以上”ではなくなるため、「大型車」の料金で通行できるのです。ちなみにETCレーンでは、路面に埋め込んだセンサーで車軸の数を認識して車両区分を判断しているため、タイヤがキチンと路面から離れていることが必須です。
■実際どれくらいの高速道路代が削減できる?
たとえば、東名高速道路の東京インターから浜松インターまでを走ったとします。特大車では1万4900円となりますが、大型車では9020円になりますので、およそ40%も高速道路代を削減することができるため、頻繁に高速道路を走行する大型トラックにとっては、非常に重要な機能といえるでしょう。
なお、このリフトアクスル機能は、現在では自動化がされており、センサーによって積載量を判断し、適切に車軸を上げ下げしてくれるタイプのものが主流となっています。そのため、うっかり上げ忘れて高速道路代が高くなることも、下げ忘れて重大なトラブルが発生することも起こりにくくなっています。
まれにこのリフトアクスル機能を改造し、荷物を積んだ状態でも車軸が上がるようにして高速道路代をごまかそうとする悪い人もいるようですが、そのような行為をおこなった場合は道路整備特別措置法によって30万円以下の罰金と、免れた通行料金の3倍が請求されます。
当然耐荷重も適正ではないため、重大なトラブルや事故を招く可能性も高くなります。もし、そんなことをして事故を起こしてしまったら、取り返しがつかない状況になってしまうのは明らかです。
※ ※ ※
以上のように、日頃お世話になっていながらも意外と知らないトラックのお話。日本の物流を支える働くクルマには、じつはこんな隠れた機能があったのでした。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。
必ずしも軸数は積載量に比例しないよ、
積載量は車両のGVWの許容限度から燃料、定員、装備品を含んだ総重量から捻出するものなので車型や軸重限度やタイヤの許容、各々の軸重分布で軸数は決まるのですね
例えば日本の二階建てバスの後ろ2軸は軸重割れ対策であったり
同じGVWでも3軸トラックもあれば4軸もある
4軸車の目的は高さ制限3.8と言う縛りの中で荷台の高さを稼ぐに床を低く設計する為のトラックシャシ側の対応としてタイヤを小型にしたが故の軸重割れ対策なのですが、こんな1輪浮かせたら料金が安くなるならバスみたいに定員数の前後で特大車になったり、1輪を浮かせられない構造の総重量の軽い車は不利ですよね
自分はこんなタイヤを浮かせてトレーラーが大型料金で通行するのは不正に値するような気もするのですが
日本の道路のように定員や軸数で通行料金が前後するのは何か納得いきません
某トレーラメーカーに勤務している者です。
記事は、「トラック」となっていますけど、リフトアクスルシステムは、「トレーラ」のみですので、お間違いなきようお願い致します。
リフトアクスルが、出たての頃は、料金所で職員とよく揉めた事を思い出します。
ふと思ったのですが、タイヤが浮いてるだけで「特大」が「大型」に下がるのを、ETCはどうやって
判別してるのでしょうか?それ以前に、普通や中型もどうやって判別してるの?例えばETCセットアップ時
の情報鵜呑みですか?
だとしたら何故オートバイ料金は設定されないのでしょうか?オートバイは2輪専用ETCで5万円ぐらいします
取り付けも4輪よりややこしいです、「料金枠が無い」と役人はアホないい訳してますが、枠がなければ
割引だけすればいいじゃない、バイクの判別なんて簡単なんだから2輪割引なんて簡単に出来るでしょ?
車は時間帯や休日割とか色んな割引があるのに何故2輪は割引も一切無しなんでしょうか?
ETCはセットアップの際に、車両情報として「牽引する/しない」を入力します。「牽引しない」場合、料金所を入って出て、まんま料金支払いですが、「牽引する」の場合は、入った際に料金所で軸数をカウントして暫定的に車種を決め、出る際にも軸数をカウントして料金を確定して払います。たとえば、2軸の大型タンクセミトレローリは入った際は4軸で特大設定と成りますが、途中のパーキングで荷卸しして空車状態で料金所を降りたら3軸と成り大型で料金を支払います。(ご指摘のとおりETC情報鵜呑みです。先日は、軽車のETCを大型トラックに付けて….という違反摘発が有りましたね)
初出から1年以上経過するも、指摘が有っても訂正されないところを見ると、このライターさんは過去を振り返りたくないタイプの方なのか、それとも自分の記事に責任を持つ気が無い方なのかもしれません。何人かの方が誤記を指摘して居ますが、小生もいくつか指摘したいのでここに記します。1つは「…..道路交通法で積載重量に対する車軸数が定められている…..」とあるが、軸重は定められているが数までは定められていない。2つめは「…..現在では自動化がされており….」リフト制御が過去は手動であったかのような記述であるがこれは明らかな間違いです。機械式の事を言っているのか、先の違反事案の事を指しているのか解らないが、過去も現在も使用者がどうのこうのしてリフトを上げ下げできる類のもではなく、メーカーがセットした重量で制御されるもので、詳しい説明は避けるが 先の違反は、その切替タイミングのやり方をうまく利用したもので、現状ではそのやり方は通用しないとだけ述べておく。