なぜ国産車は右ハンドル? 日本で左ハンドルの輸入車に乗るメリット・デメリットとは
左ハンドル車のメリット・デメリットとは
日本でクルマを運転するには、右ハンドル車の方が便利です。では、日本で左ハンドル車に乗るメリットは、どのようなところにあるのでしょうか。
まず挙げられるのは、クルマを左側に寄せやすい、狭い道ですれ違いやすいという点です。
最近のクルマは車幅も広く、車道の左側に寄せるのが難しいことがあります。左ハンドル車の場合はミラーやタイヤがガードレールや縁石などに当たらないかを確認しやすいので、路肩に寄せやすいのです。
同様の理由で、狭い道でも左いっぱいに思い切り寄せられるため、幅が極端に広いクルマでなければ、すれ違いの際に右側のことをあまり気にしないで走ることができます。
また、左側のドアから乗り降りするので、右後方から来るクルマを気にしなくても良いです。ただし、運転席のドアを開ける際は、クルマの左側を通る自転車や歩行者などには注意しなくてはいけません。
さらに、現在ではこの要素はかなり薄まりましたが、以前は、輸入車を買うことがクルマ選びの選択肢に入りにくい時代だったため、「左ハンドル=憧れの輸入車」という図式があり、クルマの大小に関わらず大きなステイタスだったことがありました。
いまでも「本国仕様に近いクルマに乗りたい」というこだわりのあるユーザーにとって、左ハンドル車は必須のアイテムといえます。
そして、大きなメリットとして考えられるのは、欧米のクルマの場合、左ハンドル車が本来の設計なので無理がないということです。
最近のモデルでは、左ハンドル車を右ハンドル仕様に変更したときの弊害は改善されていますが、左ハンドルがクルマの本来であるため、完全に右ハンドルに対応できているわけではありません。
以前は、オートマチックシフトノブのインジケーターが左側についたままだったり、ワイパーの支点が左ハンドル用から変更されていなくて払拭面が狭かったりするなど、メーカーによってはハンドル位置を右に変えただけということがあったため、左ハンドルそのままの方が良かったということもありました。
一方で、日本で左ハンドル車に乗るデメリットもあります。
もっとも注意しなければならないこととして、右折や追い越しが危ないということがあげられます。右折する対向車がいる場合、直進してくるクルマを確認することが難しいことが多いのです。
さらに、日本の高速道路や有料道路では、一部を除いて右側に合流していくため、左ハンドル車では合流が少々難しいと感じます。一般道などでも、右レーンに車線変更するときに、右後方が見えづらいため注意が必要です。
意外なことに、カーブミラーが微妙に見えないということです。左ハンドル車に乗ってみないとわからないかもしれませんが、カーブミラーが右ハンドル車に合わせて設置されているため、絶妙な角度でクルマが見えなかったりします。
また、最近の高速道路はETCが普及しているので問題ありませんが、ゲート式のコインパーキングや、商業施設の駐車場では、左ハンドルに対応していないところも多いです。その場合、一旦降りてチケットを取ったり料金を支払いをしなければならないことも、不便に感じるポイントでしょう。
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安全面や利便性を考えれば、左ハンドル車にはデメリットが多く感じられますが、慣れてしまえば乗りにくいことはありません。
欲しいクルマに左ハンドル仕様しかない場合もあったり、左ハンドル車に乗ることで感じられる嬉しさや喜びがあることも事実です。
しかし、日本では右ハンドル車が合っていることは間違いありません。初心者や左ハンドル車にこだわりがない人は、右ハンドル車をオススメします。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。
左側通行。左ハンドルのデメリット。単独乗りの場合。道路左傾斜のキツい路側側に運転席シートが有ると身体を真っ直ぐ保ちにくい。車も左側に傾き左側足廻りのみにストレスを与える。よって人にも車にも無理が有ると思います。