ホンダ創業50周年記念として登場した名車「S2000」ってどんなクルマだった?

オープンボディながらクローズドボディと同等の剛性と衝突安全性を獲得

 これらメカニズムを収めたボディモノコックは、新骨格オープンボディのハイXボーンフレーム構造です。これはフロアトンネルを骨格の中心に据えた強固な構造で、オープンボディながらクローズドボディと同等の剛性と衝突安全性を獲得しました。

ホンダ「S2000」透視図
ホンダ「S2000」透視図

 オープンモデルで憂慮される横転時でも安全性を追求し、径38mmのハイテン鋼管を用いたロールバーと二重構造の鋼管を内蔵したフロントピラーで、米国規準のルーフクラッシュテストをクリアしました。

 ボディを支えるサスペンションは、レスポンスとリニアなコントロール性、安定性を獲得するために前後ともにダブルウィッシュボーン式としました。同時にコンパクト化と低重心を狙ってインホイール構造としています。

 ブレーキはフロントに16インチのベンチレーテッドディスク、リアに15インチのソリッドディスクを配し、ABSはもちろん標準で装備されました。ホイールは鍛造16インチアルミで、組み合わせたタイヤは前205/55R16、後225/50R16サイズのブリヂストン製ポテンザS-02を装着していました。

シャープ&スリークなエクステリアデザイン

 そして完成したS2000は、ボディ寸法が全長4135mm×全幅1750mm×全高1285mm、ホイールベース2400mm、車重は1240kgと極めてコンパクトかつ軽量でした。また、エンジンをキャビン側に寄せて搭載したことで実現したスタイリングは、ロングノーズ&ショートデッキで、本格派ハイパフォーマンスカーらしいくさび型となりました。

 インテリアの造形もステアリングまわりにスイッチを集めたスポーティな設計で、メーターはデジタル式を採用。小径ステアリングとアルミ削り出しシフトノブが目に入る、専用スポーツバケットシートはタイトですが、ダイレクトでスポーツカーらしい雰囲気の運転席でした。

 多少困ったのがアルミ製シフトノブで、夏の炎天下に駐めておくと、左手が火傷しそうなほど高温になりました。このシフトノブは後のマイナーチェンジで革巻きに変更されます。

 ソフトトップは電動式で、フロントウインドウにある2箇所のロックを解除してサイドブレーキを引いていれば、スイッチ操作で幌が数秒で開閉できました。交差点の信号待ちの間にオープンに変身という芸当も可能だったのです。

生産終了を発表するも注文は止まらず

 2001年9月には初のマイナーチェンジを受け、幌の構造を改め、不評だったアクリル製リアウインドウが熱線デフォッガー入りガラス製となりました。2005年11月の大規模マイナーチェンジでは、搭載エンジンが2.2リッターに排気量アップして換装されます。出力は250馬力から242馬力に、許容回転数は9000回転から8000回転に落ちましたが、低中速のトルクが向上しています。先述したジャダーが軽減され、型式はAP1型からAP2型に変更されました。

 2009年1月27日、ホンダから同年6月をもって生産を終了するとのアナウンスがあったものの注文が止まらず、結局2009年8月まで生産して、S2000は10年間の生涯を閉じます。

 ホンダ「S」の系譜は、1962年のプロトタイプ「S360」の発表からはじまり、「S500」、「S600」、「S800」、そしてこのS2000を経て、現在の「S660」に繋がっています。

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Writer: Peacock Blue K.K.

東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。

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