ガソリンは単体購入できる? 取り扱い時に注意したいこととは
2019年7月に京都市で、犯行にガソリンを用いたとされる大規模な放火事件が発生しました。ガソリンを容器に入れて購入することは、そもそもできるのでしょうか。
普通はクルマに給油するガソリン、容器に入れて購入できる?
2019年7月に発生した京都市のアニメ制作会社が放火された事件は、死亡者数が30人を超えるという悲惨な結果となり、平成以降最悪の放火事件となったといわれています。この事件では、犯行時にクルマとも関係の深い「ガソリン」が使われたことが報じられました。
ときには「凶器」にもなりうるガソリンですが、クルマのガソリンタンクに直接入れずに、容器へ入れて購入することはそもそも可能なのでしょうか。
エンジンの燃料として多くの人に馴染み深いガソリンですが、爆発性が高いだけでなく、気化しやすいことから爆発事故が発生すると被害が大きくなります。そのため、法律でも取り扱いに関しては厳格に定められています。
クルマへ給油するときには、ガソリンタンクの給油口へ給油ノズルをいれれば問題ありません。しかし、じつはガソリン購入の方法はそれ以外にもあると、危険物保安技術協会は次のように説明します。
――ガソリンスタンドでガソリンを小分けしてもらうことはできますか。また、そのときの容器には、どのようなものがあるのですか。
ガソリンスタンドでガソリンを容器に小分けしてもらって、乗用車で運搬する場合、 金属製容器又は金属製ドラム(天板固定式のものに限る)で最大容積22リットルまでのものと 定められています(危規則第43条第2項、危告示第68条の4)。
そのため、小分けしてもらって購入する際には、消防法令基準に適合した いわゆる「ガソリン携行缶」を使用することが適切であると考えられます。
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専用の容器(ガソリン携行缶)を用いることで、小分けで購入することはできるものの、それでもなお取り扱いには注意する必要があります。
2013年8月に京都府・福知山の花火大会において発生した爆発事故でも、露店関係者が発電機へ燃料を入れる際に、ガソリン携行缶からガソリンが噴出してしまい、引火・爆発が発生しました。
前出の危険物保安技術協会は、ガソリンを小分けで購入するときには、灯油用のポリエチレン容器に入れずにガソリン携行缶を使用することや、蓋を開ける前のガス抜きなどをはじめとした、事故防止対策を呼びかけています。
また、セルフ式のガソリンスタンドではガソリンを小分けで購入することはできず、購入する際には有人ガソリンスタンドでスタッフに依頼する必要があります。
しかし、2019年7月の放火事件を受け、ガソリンをガソリン携行缶で購入する際の身分証と用途の確認をはじめとした販売ルールの厳格化をおこなう考えを、菅官房長官が示したことも報道されました。
なお2019年7月の放火事件前から、携行缶を用いたガソリン販売を、独自の判断で自粛するガソリンスタンドも存在していました。
身近でありながら危険性の高いガソリンの取り扱いには、厳重な注意をおこなうことが求められています。
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