減らない「あおり運転」どう対処? 取締強化で根絶目指す警察、被害受けた場合は即110番

社会問題化する「あおり運転」。警察は取締りの強化を図っていますが、ユーザーの対策としては、万が一の証拠となるドライブレコーダーが急速に普及しました。連日ニュースで取り上げられるあおり運転とは、どのような行為なのでしょうか。

悪質・危険な運転者の早期排除に向け、指導取り締まりを強化

 警察庁は、危険なあおり運転で各都道府県公安委員会が免許停止の行政処分とした事案が、2018年の1年間で過去最多の42件だったと発表しました。

 2014年から2018年の4年間では、年間4件から7件だったことから、ここ最近で急増していることがわかります。また、「あおり運転」などの、前走車との距離を詰める行為に該当する車間距離保持義務違反の摘発件数は1万3025件にもなっています。連日ニュースで取り上げられるあおり運転とはどのような行為なのでしょうか。

あおり運転のイメージ

 あおり運転については2018年1月、警察庁が取締りの強化を全国の警察に通達しています。2017年6月に神奈川県内の東名高速で発生した「あおり運転」などによる悪質な行為を原因とする交通死亡事故(2人死亡)の社会的な反響をうけてのことです。

 同通達では、悪質・危険な運転が関係する事案は、道路交通法違反のみならず、危険運転致死傷罪、暴行罪など「あらゆる法令を駆使して」捜査を徹底させること、また、それを未然に防止するため積極的な交通指導取締りを推進することなどを指示しています。

 実際にどのような行為をあおり運転というのでしょうか。具体例としてJAFは次のように定義しています。

 1:車間距離を異常に詰める
 2:ハイビームやパッシングを繰り返す
 3:執拗にクラクションを鳴らす
 4:車体を接近させて幅寄せをする
 5:相手車両の前に出て左右に進路を変更して車体を振る
 6:不必要な急ブレーキをかける

 一方で、違反行為を取り締まる警察官は、あおり運転の定義を次のように説明しています。

――あおり運転の定義はありますか

 あおり運転についての法律上の明確な定義はありません。前車との車間距離を詰めて走る行為や、悪意をもって割り込むような悪質・危険な違反行為と捉えています。

――あおり運転の対策として、どのようなことをおこなっていますか

 現在、社会問題にも発展しているいわゆる「あおり運転」の根絶に向け、指導取り締まりを強化するとともに、関係機関・団体と連携した交通安全教育・広報啓発活動を推進しております。

 一例としては、ヘリコプターと連携し、高速道路上の車間距離不保持や進路変更禁止違反などの違反行為に対する取り締まりなどが上げられます。

 また、悪質・危険な運転行為の結果、交通事故や事件に至った場合には、道路交通法違反のみならず、危険運転致死傷罪や暴行罪などを適用するといった、厳罰化に向けた捜査も徹底していこうと検討しております。

※ ※ ※

 2018年7月2日夜には大阪府堺市の一般道で、クルマがバイクを100km/h近いスピードで執拗に追いかけたうえで故意に追突、バイクに乗っていた大学生が転倒して死亡する事故が起きました。。

 その3日後には埼玉県久喜市でも、自車の後ろから極端に車間を詰められたり、パッシングを受けたりしたドライバーがクルマを停め、後方車のドライバーに注意して自車に戻ろうとしたところ、後方車が故意に追突して負傷するという事故が発生しています。

 堺市における、事故の加害者は2018年7月23日、大阪地検堺支部により殺人罪で起訴。あおり運転で殺人罪が適用されることは異例です。

 また、埼玉県久喜市の加害者も、殺人未遂の容疑で逮捕されているほか、同県では上尾市で2018年1月に発生したあおり運転の事件をめぐっても、4月にはその加害者を暴行罪で逮捕するなど、あおり運転事案に刑法が適用されるケースが増えてきています。

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