地上最強が日本上陸! アメリカ大統領の専用車「ビースト」とはどんなクルマ?
地球上で最強の自動車「ビースト」の中身とは?
外見だけでもインパクトが大きいビーストですが、中身にもさまざまな装備を備えています。大統領の安全を守るためにはあらゆる手段の攻撃を防げなければなりません。公表されている主な装備は以下の通りです。
・外敵の侵入を防ぐため、ドアハンドルに電気ショックや催涙ガスなど採用
・万が一の救急医療体制も万全。各種医療用品をはじめ、車内の冷蔵庫には大統領が負傷した際に使用される輸血用血液が大量に保管されている
・生物兵器や化学的攻撃を受けた場合でも車内の空気は完全に独立して清浄な空気で満たされており、外界とは完全に遮断される。
・防弾ガラスと装甲で強化されたボディは「携行式ロケット弾」の攻撃にも耐えられる
・タイヤはケブラー繊維が使用されたランフラットを装着しているが、タイヤが吹き飛ばされた場合でもリムだけで走行可能
・直接、銃で攻撃されても爆発しないよう燃料タンクは、フォームシールにより完全密封
・車体下も当然、耐爆処理が施されており手榴弾やIED(即席爆発装置)などから守られる
・夜間視界カメラがクルマの前部に隠されており、ヘッドライトが使用不能に陥っても夜間の走行が可能。さらにここには催涙弾の発射機がある
・車両後部には追っ手をまくための煙幕発生装置も備わる
・大統領席には、副大統領とペンタゴン(米国防総省)につながる衛星電話が備わっている
2017年11月にトランプ大統領が来日した際、2台のビーストには同じ番号の外交ナンバープレート(青字に白文字)が装着されていました。
これは、常にビーストが2台で移動するルールと同様、どちらに大統領が乗っているかわからないようにするためのカモフラージュとされています。日本だけではなく、他国を外遊する場合も同様です。
ちなみに、外ナンバーの最初の2-3桁は国番号で、アメリカには「82」「83」「84」「87」の4種の国番号が割り当てられており、外交ナンバーとして外務省が発行する際は前後1枚ずつを1セットとし、2台のビーストにはそれぞれ前後が異なるナンバープレートが装着されているのです。
前後で違うナンバーや、2台の大統領専用車が前後それぞれ同じナンバープレートを付けている法的な問題については、ウィーン条約にて認められている外交上の権利なので問題になることはありません。
なお、2019年6月28日から29日にインテックス大阪で開催されるG20では各国の首脳に加え、招待国の首脳など合計37の国や国際機関が参加するため、外交ナンバーを付けたさまざまな外交用車両がお目見えする予定です。
【了】
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
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