ハイパワーこそ正義だった時代 昭和のDOHCターボ車5選

いま、ターボチャージャーといえば排気量を小さくした上で、パワーを補うものという使い方が多くなってきました。ところが、昭和の時代には、とにかくパワーアップするためのものでした。そこで、昭和のDOHCターボ車を5車種ピックアップして紹介します。

懐かしのDOHCターボエンジン搭載車

 現在では、燃費向上などの環境性能のためのダウンサイジングターボエンジン搭載車が増えていますが、1979年に日産が日本初のターボ装着車「セドリック/グロリア」を発売すると、ライバル各社もパワーアップ目的でターボに注目します。

昭和最高クラスのエンジンを搭載した「スープラ」(画像は北米仕様)

 そして日産に続けと、各社ターボチャージャー装着モデルを発売し、高出力化競争が加速します。さらにDOHCエンジンにターボを装着したモデルへと進化して、高性能モデルの定番エンジンとなります。

 そこで、昭和の時代に一気に広まったDOHCターボエンジンを搭載するクルマ、5車種をピックアップして紹介します。

●日産「スカイライン2000ターボRS」(1983年)

16バルブDOHC・ICターボと最高の組み合わせだった「スカイライン2000ターボRS」

 1970年代の排ガス規制や車両重量の増加により「牙を抜かれた」とまで言われた5代目「スカイライン」でしたが、1980年に2リッター直列6気筒OHCの「L20E型」エンジンにターボチャージャーを装着した「スカイライン2000GT ターボ」を発売して、2リッタークラス最強に返り咲きました。

 この「L20ET型」エンジンは1981年にモデルチェンジされた6代目にも搭載されましたが、後に2リッター直列4気筒4バルブDOHCで150馬力(グロス)を発揮する「FJ20E型」エンジンを搭載した「スカイライン2000RS」を発売します。

「DOHC=高性能」と考えていたドライバーたちの関心を集め、1983年にはさらに「FJ20E型」エンジンにターボチャージャーを装着し190馬力(グロス)まで最高出力を高められた「FJ20ET型」エンジンを搭載する「スカイライン2000ターボRS」も登場しました。

 十分にハイパワーなスカイラインでしたが、さらに1984年にはターボによって圧縮されたエアを冷却して効率を高めるインタークーラーを装着し、最高出力205馬力(グロス)に高められた「スカイライン2000ターボインタークーラーRS」を発売。

「RB型」エンジンが登場する7代目スカイラインにバトンタッチするまで、最強のスカイラインとして高い人気を誇りました。

■マツダ「ファミリア1600GT」(1985年)

ロータリーだけじゃなくレシプロでもハイパワーを目指した「ファミリア1600GT」

 ボクシーなスタイルと洒落た内装で爆発的なヒット作となった5代目「ファミリア」は、1980年に発売されました。

 ライバル車たちの高出力化に対抗して、1983年に1.5リッター直列4気筒SOHCターボの「E5型」エンジンを搭載する「ファミリア1500XGターボ」をラインナップ。1985年にモデルチェンジされた6代目にも継続して搭載されるなど、上位グレード用エンジンとなります。

 しかし、わずか数カ月後には1.6リッター直列4気筒4バルブDOHCで、国内1.6リッタークラス最高の出力140馬力(ネット)を発揮する「B6型」ターボエンジンを搭載したマツダ「ファミリア1600GT」を追加ラインナップしました。

 1.6リッターながら、当時の比較で用いられた「グロス換算」では160馬力を超える動力性能は強烈で、中高速コーナーが続くようなコースでの速さは目を見張るものがありました。

 また、日本初のフルタイム4WDとなった「GT-X」が高い人気となり、平成となった1989年に7代目ファミリアが登場するまで高性能コンパクトカーの代表格となりました。

●スズキ「アルトワークスRS-X」(1987年)

64馬力規制のきっかけとなった「アルトワークスRS-X」

 1979年に「新車価格47万円」と衝撃的な低価格でデビューしたスズキ「アルト」は、その後に「軽ボンネットバン」ブームを巻き起こしました。

 1985年には軽自動車初の電子制御燃料噴射装置「EPI」を採用した3気筒SOHCインタークーラーターボモデルの「アルトターボ」を追加。さらに1986年には42馬力を発揮するスズキの軽自動車では初となるDOHCエンジン搭載モデルの「アルトツインカムRS」の発売と、アルトターボの最高出力を48馬力まで向上させライバルたちを引き離しにかかりました。

 さらに1987年にはアルトツインカムRSのDOHCエンジンをベースに、軽自動車初の最高出力64馬力(ネット)を発揮する「F5A型」550cc3気筒4バルブDOHCインタークーラーターボエンジンを搭載した「アルトワークス」シリーズを発売。

 とくに2WDで軽量な「アルトワークス RS-S」や「RS-X」は、当時人気だったトヨタのAE86型「レビン/トレノ」を凌ぐほどのゼロ発進加速で、スポーツドライブ好きやメカ好きなドライバーに絶賛されました。

 また、ビスカスカップリング式センターデフを採用したフルタイム4WDの「RS-R」は、全日本ラリー選手権などモータースポーツでも活躍し、ダイハツ、スバルとの三つ巴の争いに発展します。

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1件のコメント

  1. マツダ車でロータリーエンジン搭載のコスモという夢のスポーツカーがありましたなあ…。独特のブーーという連続した排気音が特徴的でした。時代を先取りし過ぎたデザインでしたが、燃費が悪いのが難点であまり普及しなかったようです。

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