なぜ「スカイライン」から? 日産が電脳化で先手! 高速道で手放し運転可能「プロパイロット2.0」とは

日産は、新たに「プロパイロット2.0」(インテリジェント高速道路ルート走行)を発表し、2019年秋に日本で発売する「スカイライン」に初搭載すると発表しました。従来のプロパイロットから何が進化したのでしょうか。

「技術の日産」を象徴するプロパイロット2.0とは

 現在、日産の経営は「電動化」と「電脳化」が柱になります。そのなかの電脳化に関しては、現行「セレナ」に初採用された運転支援システム「プロパイロット」が約3年でグローバルの7モデルに採用拡大し、累計35万台を記録しています。

 その進化版となるのが、今秋に日本で発売する「スカイライン」に搭載予定の「プロパイロット2.0」です。従来のプロパイロットから何が進化したのでしょうか。

日産「スカイライン」(現行モデル)

 プロパイロットとは、高速道路の同一車線内でアクセル/ブレーキ操作(=インテリジェントクルーズコントロール)とステアリング支援を統合制御する運転支援システムです。

 その進化版として発表されたプロパイロット2.0は、「高速道路のナビ連動ルート」と「同一車線内のハンズオフ機能」を組み合わせシステムとなり、簡単にいうと「ナビゲーション」と「運転支援」を連動させたシステムなのです。

 具体的には、ナビゲーションで目的地を設定しルート走行をおこなう際に、高速道路の本線への合流から高速道路の出口までの間で「ルート上の車線変更と分岐の支援」、その際に前方に遅いクルマがいる時は「追い越し時の車線変更の支援」をおこなってくれます。

 更に、同一車線内であれば「ハンズオフ(=ステアリングから手を離す)」も可能と、まさに運転操作も含めて幅広いシーンで支援をします。

 使用方法は、メーター内の「インテリジェントインターフェース」に道路・周囲の状況、制御の状態をリアルタイムに表示。地図上の位置と周囲の交通状況を考慮してシステムが運転支援をおこなうかどうかを提案。

 ドライバーがボタンを押し承認して初めて支援を開始。その動きは、まるでプロドライバーが運転しているかのような滑らかな走りだそうです。このような運転支援を可能にする秘密は、「3D精度地図データ」と「360度をカバーする周囲センシング(センサーを利用した計測・判別)」の2点です。

 3D精度地図データは、高速道路の形状をcm単位レベルの細かさでデータ化した物で、道路の曲率や勾配はもちろん、全ての車線の区分線情報や速度標識、案内標識の情報が入っています。

 これにより道路と自車の位置関係を精度高く把握できるのはもちろん、カメラで見える範囲より先の道路状況の判断もできるので走行計画も立てやすく、結果的により正確で滑らかな速度抑制/ステアリング制御が可能です。

 ちなみに、プロパイロット初採用モデルがミニバンのセレナだったのは、「より多くの人に使ってほしい」という考えでしたが、プロパイロット2.0初採用モデルがスカイラインなのはどのような理由があるのでしょうか。

 副社長の中畔邦雄さんは「スカイラインは時代ごとの最先端技術を搭載し、『技術の日産』の象徴的な一台」と語りますが、筆者(山本シンヤ)はスカイラインのみに採用されている技術のひとつである「ダイレクト・アダプティブ・ステアリング(DAS)」にヒントがあるのではと考えています。

 DASとは、ステアリングの動きを電気信号に置き換え、その信号に応じて2つの高機能EPSモーターがラックを左右に動かしタイヤを操舵させますが、プロパイロット2.0で正確かつ滑らかな操舵支援をおこなうには、通常のEPSモーターではなく高機能EPSモーターが必要だったのでしょう。

 また、プロパイロット2.0の開発を担当したAD/ADAS先行技術開発部 部長の飯島徹也さんは「システムを確実な物にするために、日本の高速道路は全て実際に走ってテストを行なっています。それ以外にも現時点で考えられる様々なシーンを想定し、6軸の高機能ドライビングシミュレーターも活用しています」と話します。

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