働くクルマへ華麗に変身!? 乗用車から派生した商用車5選

ナンバー1ミニバンもかつてはバンをラインナップ

●日産「セレナカーゴ」

いまやミニバン人気ナンバー1の「セレナ」にもバンがあった

 2018年に9万9865台を販売し、ミニバン販売台数ナンバー1に輝いた日産「セレナ」ですが、初代は1991年に発売されました。当初は「バネットセレナ」の名前でしたが、後にセレナに改名します。

 それまでこのカテゴリーのクルマは1BOXタイプのバンをベースとしたワゴンが主流でしたが、セレナのデザインはいまのミニバンに通じるスタイルで、商用車とは違うイメージとなっていました。

 一方で、エンジンを前席の下に搭載する「キャブオーバー」式FR駆動を採用するなど、かつての1BOXタイプの名残があり、さらに商用車のバンもラインナップするなど、まだミニバン(ワゴン)とバンを完全に分離できなかった過渡期のモデルだということがわかります。

 バンは「セレナカーゴ」として販売され、セレナに対し内装が簡素化されたほか、リーフスプリング(板バネ)のリジットアクスル・リアサスペンションを採用することで、バンとしての積載性能を向上させていました。

 1999年にフルモデルチェンジして2代目になるとバンは廃止され、商用車は「バネット」に統合。いまの「NV200」へと続いています。

●ホンダ「シティプロ」

大ヒットした「シティ」にも「シティプロ」というバンがあった

 1981年に発売されたホンダ「シティ」は、「トールボーイ」という背の高いそれまでにないコンセプトのコンパクトカーで、発売してすぐに大ヒットを記録します。

 全長3380mm×全幅1570mm×全高1470mmという小さなボディながら広い室内を持ち、後のコンパクトカーに多大な影響を与えます。

 この初代シティには「モトコンポ」という50ccのバイクが同時に発売され話題になりましたが、さらに「シティプロ」というバンも同時にデビューしました。

 シティプロには2名乗車と5名乗車の2タイプがあり、1.2リッター直列4気筒のCVCCエンジンを搭載。もともとシンプルな内装や装備も、より簡素化されました。

 外観も加飾を控えめにして、フロントグリルも専用のデザインのものが採用されましたが、赤いカラーリングを用意するなど一見して商用車には見えませんでした。

 積載性能は300kgと当時の軽トラックよりも少なかったですが、ユニークな外観の商用車として、一定の支持を受けます。

 初代シティの後期型にはオープンカーの「カブリオレ」も加わりましたが、同じ車種でバンとオープンカーがラインナップされるのは、世界的にも非常に珍しいケースでしょう。

※ ※ ※

 今回の5車種のように乗用車をベースに商用車に転用する理由はさまざまありますが、一番には開発・製造コストの削減という点が挙げられます。

 ほかには、いまほどマイカーが簡単に持てないころの、メーカーによる対策という面もあったでしょう。

 それは、1960年代から1970年代にかけて、個人商店のオーナーは仕事用にバンを買って、休日は乗用に使うということが多かったといいますから、乗用車ベースで快適なバンを作るのが理にかなっていたのかもしれません。

【了】

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Writer: くるまのニュース編集部

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