働くクルマへ華麗に変身!? 乗用車から派生した商用車5選
いまでこそ商用車は専用に設計・開発されたモデルがほとんどです。しかし、以前は乗用車をベースとしてバンやトラックを作ることが珍しくありませんでした。そこで、乗用車から派生した商用車5車種をピックアップして紹介します。
乗用車から誕生した商用車5選
現在のクルマ作りは合理化されており、商用車は専用に設計・開発されたモデルがほとんどです。
積載性能や、商用車独特の装備、耐久性を考えたら、専用に開発するのが正しいのかもしれません。例えばトヨタ「プロボックス/サクシード」は入念なマーケティングにより、商用車としての性能、使い勝手に特化したクルマとなっています。
しかし、以前は乗用車をベースに商用車を作るケースが珍しくありませんでした。そこで、かつて販売していた乗用車から派生した商用車5車種をピックアップして紹介します。
●日産「スカイライン エステート」
いまでこそ日産「スカイライン」といえば「GT-R」に代表される高性能クーペ、セダンですが、3代目のC10型(通称ハコスカ)から6代目のR30型(通称ニューマン)までは、商用車のバンをラインナップしていました。
かつては多くの車種で、セダン、クーペ、ワゴンをラインナップしていて、さまざまなニーズに対応。なかでもワゴンをラインナップしていればバンに転用するのも比較的簡単で、トヨタ「クラウン」、日産「セドリック/グロリア」など、アッパークラスのクルマでも、バンがありました。
1981年に発売された6代目スカイラインの場合は、セダン、クーペ、5ドアハッチバック、バンが用意され、バンの「スカイライン エステート」は4気筒の2リッターディーゼルLD20型と、1.8リッターガソリンZ18型のみで、L20型など6気筒エンジンは採用されませんでしたが、しっかりとスカイラインらしいデザインとなっていました。
なお、7代目のR31型ではバンは廃止されましたがワゴンは残り、8代目のR32型以降はセダンとクーペのみとなります。
●スバル「ブラット」
スバルは4WD乗用車という分野で世界でも草分け的存在のメーカーですが、その始まりは1971年に発売された「レオーネ」からでした。
初代レオーネはセダンを基本として、2ドアクーペ、バンなどをラインナップしました。また、日本以外にも北米でも販売し、いまに続くスバルブランドを北米で根付かせます。
その北米ではピックアップトラックが人気で、日産やトヨタは北米でピックアップを販売していましたが、スバルのラインナップにはありませんでした。
そこで、1977年にレオーネをベースとしたピックアップトラック「ブラット」を発売。他社にはないモノコックボディ(別体のフレームを持たない構造)はスタイリッシュで、若者を中心に人気となります。
1.6リッター水平対向4気筒エンジンを搭載し、駆動方式は4WDのみで本格的な悪路走破性能も持っていました。
当時の日本ではバンの需要が高く、残念ながら日本での販売はありませんでしたが、わずかな台数が並行輸入の形で日本に入っています。
●スズキ「マイティーボーイ」
1977年、スズキはリアエンジンのスポーティな軽乗用車「セルボ」を発売。1982年には2代目にモデルチェンジして、ワゴンタイプとは異なるスタイリッシュなFF3ドアハッチバックに生まれ変わりました。
この2代目セルボをベースに、フロントのスタイルはほぼそのままとして、ピックアップトラック「マイティーボーイ」を1983年に発売します。
一般的な軽トラックほどの積載能力はありませんが、遊び心のあるコンセプトによってマリンスポーツやレジャー用途に使う若者から支持されました。
スズキ自らが『マー坊』という愛称を使って宣伝していたこともあり、実際にマー坊として親しまれます。
フルモデルチェンジすることなく1代限りで1988年に生産終了しましたが、30年以上経ったいまも比較的現存数も多く、中古車が売買されています。
興味深いですが、車種の選択が問題だったと思います。
・スカイラインエステート 乗用車派生ライトバンは昔は当たり前の存在。
・スバルブラット 輸出先では乗用車扱いの車種を商用車とするのはどうか。
・セレナカーゴ 初代セレナはどちらかと言えば商用車がオリジナル。
・シティ 2BOXのバンはコンパクトクラスでは珍しかったが軽では当たり前の存在。
なので、マイティボーイは残して下記の4車種を追加するのが妥当だったと思います。
・サニートラック(対比車種パブリカピックアップ)
・クラウンピックアップ(対比車種マークⅡピックアップ)
・ミラウォークスルーバン(対比車種アルト・ミニカのウォークスルーバン)
・アルトハッスル