クルマの暴走事故対策に“スマホ”が役立つ? 今後期待される活用法とは
理想的には「歩車間通信」か?
走行するクルマの情報がスマホに届くシステムについては、すでに自動車メーカー各社や自動車部品メーカーで開発が進んでいます。これを、歩行者と自動車との通信という意味で「歩車間通信」と呼びます。
2020年代前半には、次世代の通信システムとなる「第五世代通信(5G)」の普及が始まる予定です。5Gは情報の処理速度が上がり、情報のやり取りの遅れが少なくなることから、歩車間通信でも有効に利用できることが予想されます。
自動車メーカー各社は近年、自社の走行テストコースの一部に、交差点や横断歩道がある市街地を想定した屋外施設を設けており、交差点周辺における通信を使った技術開発を強化しているのです。
筆者(桃田健史)はそれらのいくつかを取材したことがありますが、実際の道路環境に近い状態での実験はかなり迫力があります。
歩車間通信では、通信機器を交差点周辺に設置することが考えられますが、公道における実際の設置場所としては、過去に重大事故があった地点や、横断する人の数が多い繁華街などから重点的に設置することになるでしょう。
具体例としては、トヨタが主導して普及を進めている通信システムがあり、愛知県内などで試験的に導入されました。
今後、こうしたシステムの本格的な普及が進む場合には、設置コストを誰が負担するかが課題です。
歩車間通信のシステムを自社で開発している複数の自動車メーカーの関係者は「道路インフラは自動車メーカーのやる仕事ではない。設置するのは行政の仕事である」という考え方を持っています。
また、歩車間通信の場合、クルマに最新の通信機能が搭載されていなければなりません。年式の古いクルマの場合は「ETC」(自動料金徴収システム)を利用することも考えられますが、通過する速度まで検知するのは難しいと考えられます。
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