クルマの暴走事故対策に“スマホ”が役立つ? 今後期待される活用法とは

すでに普及している「GPS」を活用する案も

どのような交差点であっても事故が起きる可能性は否定できない

 一方、すでにインフラとして普及している人工衛星による測位システム「GPS」を使う案も想定されます。

 最近発売されている大半のスマホにはGPSが搭載されています。クルマのナビゲーションシステムにもGPSが搭載されていますし、ドライバーの多くもスマホを持っていますから、クルマの移動中の位置情報も把握することができます。

 また、GPSは移動中の方向や速度も把握していますので、スマホ警報にはうってつけかもしれません。

 ただし、スマホのGPS機能が一時的にオフになっている場合もあることから、前述したような交差点内のカメラや歩車間通信などとの併用が望ましいと考えられます。

 さらにいえば、GPSの場合、位置情報の誤差も問題です。通常のGPSでは10m前後も誤差があるのが実態で、ナビゲーションシステムの場合は地図の上で誤差を補正する処理を施しています。

 最近では、日本が打ち上げた測位衛星「みちびき」が、全国に約1300カ所ある電子基準点を活用して、誤差が数十cmの位置情報を得ることが可能となりました。

 とはいえ、GPSやみちびきの電波は大気の状況や地形の影響を受けるため、位置情報の誤差の範囲が一定にならないのではないか、という見解を示す研究者もいます。

 このように、“もしもの場合”交差点付近でスマホに警報を鳴らすには、さまざまな方法が考えられますが、それぞれに課題があるのが実情です。

【了】

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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