なぜ対応分かれる? 全方位のトヨタ、電動化の日産、エンジンのマツダ、各社の戦略とは

内燃機関をしっかりやるマツダとスバル

 ガソリンエンジンやディーゼルエンジンといった内燃機関に力を入れている自動車メーカーもあり、そのひとつがマツダです。

マツダ「CX-5(SKYACTIV-D)」のエンジンルーム

 マツダの長期ビジョンは『サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030』。そのなかで「Well-to-Wheel(資源から走行までの意味)での企業平均CO2排出量を、2030年までに50%削減を目標とする」と宣言しています。

 ただし、CO2を半分に削減=半分をEVというわけではありません。「内燃機関の理想を徹底的に追求し、効率的な電動化技術と組み合わせて導入」するというのです。

 つまり、ハイブリッドでも軸足を内燃機関に置きつつ、内燃機関を“徹底的に追及する”ことで効率を高めます。もちろんEVを否定するわけではなく、マツダは、「クリーン発電地域や、大気汚染抑制のための自動車に関する規制がある地域に対して、EVなどの電気駆動技術を2019年から展開します」と述べています。

 また、水平対向エンジンがブランド価値となっているスバルにも、ハイブリッド車は存在します。しかし、その存在は大きなものではありません。

 しかし、2018年に発表された中期経営計画『STEP』では「電動車ラインアップの拡充(EV、PHEV、HEV)と既存エンジン車の燃費改善」とあります。

 実際、2018にはアメリカ市場向けに「XV」のプラグインハイブリッド版を投入。これは、トヨタ「プリウスPHV」のシステムが搭載されていました。もしかすすると、将来はスズキのようにトヨタから電動化の部品を供給されるかもしれません。

 このように、国産自動車メーカーのパワートレイン戦略を見渡してみれば、電動化は進めるものの、一方では内燃機関の開発も抜かりなく行うというスタンスがほとんどのようです。

 実際に、世の中の電動化は、ハイブリッドを経て、EVに向かうことになるでしょうが、その変化のスピードは、それほど早くはないはず。そういう意味で、国産自動車メーカーのスタンスは堅実なものといえるのではないでしょうか。
 
【了】

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Writer: 鈴木ケンイチ

1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。

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