質実剛健!個性を抑えた個性! フォルクスワーゲン「アルテオン」

アルテオンの最大の存在感は、主張を抑えた個性!

 市街地から高速道路を走った感覚を正直に言えば、無味無臭、存在感のないものでした。

2.0リッター直列4気筒DOHCインタークーラー付きターボエンジン

 搭載される直列4気筒2リッターターボエンジンは、最高出力280psを発揮し、350Nmの最大トルクを備えています。必要にして十分なパワーであり、主張がありません。低回転域から粘り強いのに、エンジン回転の上昇に伴う躍動感もありません。

 それでも、停止状態からフル加速するとわずか5.6秒で100km/hに達するというのですから感心します。たしかに2リッターという排気量で280psに達するわけですから、鍛え上げられたエンジンではあります。ですが、それほど鋭くダッシュするのに獰猛なそぶりをまったく見せないところがアルテオンらしさなのです。

 乗り心地も無難です。しっとりとなめし皮を敷いた路面を走るような味わいはさすがにエレガントに相応しいものです。ですが、それ以上でもなくそれ以下でもないのです。

 実は「存在感の薄さ」が、アルテオンの「最大の存在感」なのかもしれません。そもそもVW大衆車路線を好みます。それでも輸入車ですから、日本の街で見かけるとそれなりの高級感が漂ってはいますが、いかにもの押し出しや、これ見よがしの高級感ではありません。質実剛健、主張をおさえたことが個性なのです。アルテオンのエレガント仕様であっても、ギドギドするようないやらしさが感じられないのです。このさりげなさがアルテオンの特徴なのですね。青山の骨董通りや、秋坂の一ツ木通りでは、街の風景にスッと溶け込んでしまいそうです。

鷹は爪を隠す!さりげなさがアルテオン本来の特徴?

 それでも乗員をゆったりとした空間に誘いますし、4モーションゆえに、頼もしい踏破性が備わっています。その気になればハッとするほどの性能を披露するのでしょうが、その爪を鷹が隠しているというわけです。

 本当の高級を理解している人が好むモデルなのかもしれませんね。

【了】

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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