エアコンを多用する冬場のドライブ時はドライアイに注意 視力低下により安全運転に支障をきたす可能性も
涙の量や質が低下し、目の表面に障害が起きる「ドライアイ」は、長時間のパソコン作業の他、自動車の運転中にも起こる可能性のある目の病気の一つです。
年々増加する「ドライアイ」とは?
目を守るのに欠かせない涙の量が不足したり、質のバランスが崩れることによって涙が均等に行きわたらなくなる「ドライアイ」は、高齢化、パソコンやスマートフォンの使用、コンタクトレンズの装用などが原因となって起きる目の病気の一つです。
日本眼科学会の発表によると、現在、日本では約800万人から2200万人ものドライアイ患者がいるとされていますが、ドライアイを放置すると眼表面に傷がつきやすくなり、痛みや視力の低下を招く恐れがあります。
自動車の運転中においては、まばたきが減ることに加え、車室内もエアコンにより乾燥しがちになるなど、ドライアイが起きやすい条件が揃っています。
そうしたことを踏まえ、全国でロードサービスを展開するJAFは、6名のモニターを対象に、運転前と約2時間の運転後に「実用視力」の測定を実施。運転に支障をきたす恐れのあるドライアイの影響を検証しました。
「実用視力」とは、継続的にものを見続ける際の視力のことで、通常の視力検査で測る視力よりもより実生活の見え方に近いとされています。
「ドライアイ」ではどの程度、視力が下がる?
このテストでは運転前と運転後に、計測器で1分の間、次々にあらわれるランドルト環(視力検査用の一部が切れた環)に対し指先のスイッチで反応、視力やまばたきの数などを計測し、運転前後の数値を比較することで違いを検証しています。
その結果、一部のモニターでは運転後に視力と涙液量の低下が見られましたが、中には計測開始時1.0あった視力が運転前は0.2、運転後にはさらに低い0.1まで下がってしまったケースもありました。
また、涙量についても同様に低下が見られ、顕著な例では運転前が9mmであったのに対し、運転後には4mmまで変化しています。
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JAFによると、今回のモニターは眼の乾きなどが軽度な人が多かったためか、大きな差はあまりみられなかったといいますが、実用視力の落ち込み具合やまばたきの増加などについて、専門家は運転による影響が充分考えられると示唆しているようです。
エアコンを使用する頻度が高くなる冬場のドライブ時には、エアコンの風を目もとに当てず、市販の目薬を差したり、加湿器を利用することで乾燥を防ぐ必要があるでしょう。
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