東京からトルコまでつなぐ現代のシルクロード? 謎の道路「アジアハイウェイ」とは
「アジアハイウェイ1号線」という道路が存在します。じつは東京からトルコまで続く壮大な道路網のことを示しているのですが、なぜこのようなルートができたのでしょうか。国土交通省に話を聞いてみました。
アジアを結ぶ壮大なルートだが走破は困難か!?
「AH1 ASIAN HIGHWAY」と書かれた標識を見たことはあるでしょうか? 東京都内だと、道路起点である日本橋の真上にある首都高都心環状線の脇に標識があります。
この「アジアハイウェイ」とは一体何なのでしょう。謎多き道路について、国土交通省 総合政策局 国際政策課に聞いてみました。
──アジアハイウェイの概要を教えてください。
アジアハイウェイネットワークは、パン・アメリカン・ハイウェイやヨーロッパ・ハイウェイのような国際道路網をアジアにも完成させようという構想に基づき、国連を中心に1950年代半ば頃から検討がなされたものです。
2003年、日本はアジア諸国と協調し、アジアの一員として計画に参加することが日本のプレゼンス向上に寄与するとの観点から、アジアハイウェイ政府間協定に日本国内の路線を掲げることを表明しました。
──具体的に、アジアハイウェイはどのような地域を結んでいるのか教えてください。
アジアハイウェイネットワークは、極東アジア、東南アジア、南アジアといった、アジア内の複数の地域を結ぶ国際的に重要な道路路線、近隣地域を結節する路線を含む地域内の路線、及びメンバー国内の路線からなります。
それらは(a)首都、(b)主要産業・農業集積地、(c)主要港湾、(d)主要コンテナ・ターミナル、ならびに(e)主要観光地を接続するもので、 1~9までの1桁の路線番号は、複数の地域をまたいで設定されるアジアハイウェイ路線につけられています。
その中でも1号線は以下の地域を横切る路線であり、日本国内では東京-福岡間が該当します。
・アジアハイウェイ1号線が横切る地域
日本、韓国、北朝鮮、中国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、バングラデシュ、インド、パキスタン、アフガニスタン、イラン、トルコ
※ ※ ※
指定されているのはあくまで各国の起点となる場所から終点までのポイントのみで、その区間をどう結ぶかは各国に任せられているそうです。
例えば東京-福岡間では「東名高速道路-名神高速道路-中国自動車道-山陰自動車道-中国自動車道-九州自動車道」といったルートを通ります。
アジアハイウェイ1号線の場合、日本からはフェリーで韓国の釜山へと続き、最終的にはトルコのブルガリアの国境付近までつながっていて総延長は約2万kmにもなります。では、実際に日本人がアジアハイウェイ1号線を走破することはできるのでしょうか。
残念ながら現状ではほぼ不可能と言わざると得ません。それは国交のない北朝鮮と、退避勧告が出ているアフガニスタンを通るルートだからです。
なお、1号線以外のアジアハイウェイの路線は、国土交通省のウェブサイトからも見ることができます。
最近ではこの構想についてほとんど動きはないとのことで、今後路線の拡大が行なわれるかは不明とのことですが、道路を結ぶことでアジア地域の連帯を強めようとするユニークな取り組みということがわかりました。
看板を見つけた際は、アジア諸国を巡る旅に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
【了】