「あの頃はスポーツ心溢れていた」 当時を思い起こさせる過給器付きの軽5選

最近の軽自動車といえば背の高いワゴン車が人気です。1990年に軽自動車の排気量が660ccになった当時は、スポーティさを追求したモデルが多く登場。懐かしのターボやスーパーチャージャー付きの軽自動車を5つピックップします。

懐かしのスポーティ軽自動車、5車種を紹介

 軽自動車のスポーティモデルは、1983年に三菱が軽自動車初となるターボチャージャーエンジン搭載の「ミニカ・エコノ」を発売して以来、過給器付きの流れがありました。

 1990年にエンジンの排気量がそれまでの550ccから660ccへ規格が変わるとスポーティモデルも一気に高出力化。1990年代初期には、スポーツ心あふれていた過給器付き軽自動車がたくさん登場し、パワーや走行性能、スタイリングを競っていくのです。今回は、懐かしの過給機付き軽自動車5つをピックップして紹介します。

●ダイハツ「ミラ TR-XX」

2代目ミラターボ TR-XX(1985年)

 1980年に登場したダイハツ「ミラ・クオーレ」は、1983年には41PSを発揮するターボチャージャー付きエンジン搭載車を発売しました。

 1985年のモデルチェンジときにエンジンを3気筒化して、その後に52PSを発揮する「ミラ・ターボ」に専用エアロパーツを装備した「ミラ TR-XX」が発売され大人気となります。

 その理由は、当時の軽自動車の中では上質な外観とインテリア。1987年にはEFI(電子制御燃料噴射装置)化され、1988年には「アルト・ワークス」に対抗して64PS化を行っています。

 1990年の軽自動車の規格変更では、ちょうどタイミングよく3代目へのフルモデルチェンジを行いました。ライバル車たちがマイナーチェンジで単に660ccエンジンに換えたレベルだったのに対して、軽自動車初の4WSやサイドインパクトドアビームを全グレードに標準装備するなど、2代目でも好評だった軽自動車らしからぬ上質感が進化しました。

 現在、ミラの名前は「ミラ イース」、「ミラ トコット」として残っているだけで、決してスポーティーなクルマではなくなってしまいました。

●スズキ「セルボ SR-Four」

セルボ(1977年)

 軽自動車の規格が360ccだった時代に、イタリアの有名デザイナー・ジウジアーロがデザインしたクーペスタイルと高出力で人気となった「フロンテ・クーペ」の後継車種として、550ccへの規格変更により1977年にスズキ「セルボ」が誕生します。

 初代「アルト」発売後のボンネットバンブームの最中も、セルボは5ナンバーの軽乗用車として販売され、1982年にはアルトと共通のパワートレイン化で駆動方式は前輪駆動となりました。

 1983年には40PSを発揮するスズキ初のターボエンジンを搭載して12インチタイヤやドアミラーを装着したモデルを追加しましたが、1988年のモデルチェンジで軽商用車化され、アルトと共通パーツを多用している点や独特のスタイルが不評となります。

 1990年夏にフルモデルチェンジされ、インタークーラーターボを装備して64PSを発揮する直列4気筒16バルブエンジン搭載モデル「セルボ SR-Four」を発売しました。軽自動車でありながら高級ブランドタイヤであるピレリ「P700」を標準で装着しているなど、いかにもバブル期を思わせるクルマです。

 スバル・レックス同様に4気筒エンジン搭載によるメリットは多くありましたが、旧規格を660cc化した他のクルマに比べると重く感じる点や、専用部品の多さからメンテナンス費用がかさむ点が敬遠され、今では滅多に見かけなくなりました。

●スバル「レックス VX」

レックス660

 今回の5台で、唯一スーパーチャージャー付きエンジンを搭載しているのがスバル「レックス・スーパーチャージャー」です。

 1988年にスーパーチャージャー付きエンジン搭載車を発売し、1989年のマイナーチェンジでは、3気筒エンジンが主流だった軽自動車市場に61PSを発揮する直列4気筒550ccスーパーチャージャー付きエンジン搭載のモデルを追加し注目を集めます。

 1990年に軽自動車の規格が660ccに移行すると、エンジンを660cc化して64PSを発揮。排気量が増え、エンジンの軸出力を利用するスーパーチャージャーは、エンジンの排気圧で過給するターボチャージャーとは違い、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間からトルクが立ち上がり、1クラス上のエンジンを搭載しているクルマに乗っているようなドライブフィーリングを実現。

 1992年に後継車種の「ヴィヴィオ」が発売されることで、レックスシリーズは20年の歴史を閉じました。

●スズキ「アルトワークス RS/X」

アルトワークス(1987年)

 1979年に『新車価格47万円』の低価格で衝撃的なデビューをしたスズキ「アルト」。軽商用車とすることで税制面で有利になり、当時は購入時の総額も低く抑えることができたので、その後の『軽ボンネットバン』ブームを巻き起こすことになります。

 1984年のモデルチェンジで、アルトのエンジンは初代の550cc/2サイクル3気筒から4サイクル3気筒に変わり、1985年には軽自動車初の電子制御燃料噴射装置「EPI」を採用した3気筒SOHCインタークーラーターボモデルの「アルトターボ」を追加。

 さらに1986年には42PSを発揮するスズキの軽自動車では初となるDOHCエンジン搭載モデルの「アルト ツインカムRS」の発売と、アルトターボの最高出力を48PSまで向上させライバルたちを引き離しに入ります。

 1987年には、RSとターボを組み合わせ軽自動車初の64PSを発揮する3気筒4バルブDOHCインタークーラーターボエンジンを搭載した「アルトワークス」シリーズを発売。特に2WDで軽量な「アルトワークス RS/X」は、当時人気だったトヨタのAE86型「レビン/トレノ」をシグナルスタートで置いていくほどで、スポーツドライブ好きや機械好きなドライバーから高い評価を受けました。

●ミツビシ「ミニカダンガン ZZ」

ミニカ72GL

 1962年に登場した軽ボンネットバンであるミツビシ「ミニカ」のデビュー時は、最高出力17PSの2ストローク空冷直列2気筒エンジンを搭載していました。

 しかし、モータリゼーションの波に乗り高出力化を図ると、1969年の2代目では「ゴールドエンジン」と呼ばれる38PSを発揮するツインキャブエンジンを搭載した「GSS」を発売し、若者からの支持を集めます。

 550cc直列3気筒エンジンにスイッチした、5代目になるとスズキ「アルトワークス」やダイハツ「ミラターボTR-XX」に対抗して、エアロパーツで武装した「ZEO」を1988年に発売しますが、最高出力は50PSだったためライバルの64PS車に比べると人気は低いままでした。

 その後、ライバルに並ぶ自主規制値いっぱいの64PSを達成した「DANGAN」を発売し、『おじいさんの買い物用』とか『銀行の社用車』と揶揄され続けてきたミニカのイメージを一掃します。

 1993年のフルモデルチェンジでは、軽自動車初であり世界最小となる4気筒20バルブDOHCツインスクロールターボエンジン搭載車もラインナップされ、世界中から注目された1台です。

※ ※ ※

 いまでは、軽ハイトワゴンが主流となっている軽自動車ジャンル。しかし、登場は『軽くて速い』ということは一種のステータスだったようです。

【了】

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