女性ならではの視点で開発されたレクサス「UX」 走りもハンドリングも軽快
スポーティセダンを操縦している感覚が得られる
走りも心地いいものでした。搭載するエンジンは、直列4気筒2リッターガソリンと直列4気筒2リッターハイブリッドです。ふたつのパワーユニットが選択可能で、ハイブリッドでは4輪駆動も選べます。
都会をクルーズした感覚でいえば、ハイブリッド仕様のレスポンスや低回転トルクが力強く感じました。発進停止を繰り返す市街地走行では、ハイブリッドに大きなメリットがあります。
一方のガソリンエンジンは、低回転域でのトルク特性に不足を感じます。なぜか通常のオートマチックトランスミッションではなくCVTを合体されており、その点ではエンジン回転と車速がミスマッチするような場面がありました。ただそれも1速ギアを組み込むなどして細工をしているようです。
ハンドリングは軽快です。ボディ剛性を飛躍的に高めていることで、元気にカーブを曲がったとしてもグラグラと頼りなくヨレることがありません。前述したように、着座点が自然ですから、スポーティセダンを操縦しているような感覚も得られます。
ちょっと強引に加速するときに、それがカーブを曲がっている最中であると、フロントタイヤが逃げてしまうために旋回性が悪化します。興ざめすることはありますが、精神は都会を闊歩するアーバーンクルーザーですから、それには目を瞑ることにします。
それにしても、ボディはコンパクトなはずなのに、狭く窮屈な感覚がありません。そのあたりはチーフエンジニアの加古慈さんが得意とするインテリアマジックなのかもしれません。そう、加古さんは、素材関係を専門とする方なのです。その能力が遺憾なく発揮されているのでしょう。
カラーバリエーションは華やかですし、生活のオフもオンも両方を楽しめるクルマであることは事実です。UXのある生活は楽しそうです。ワクワクします。
【了】
Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。