ロービームでも「対向車のライトが不快」 なぜ眩しいヘッドライトの車が増加?
アダプティブヘッドライトや自動ハイビームが増えたことも理由?
近年、LEDヘッドライトの普及とともに先進安全装備の一つとして、アダプティブヘッドライトや自動ハイビームなどの採用が増えています。いちいち手動でヘッドライトのHIGH/LOWを切り替えなくても、対向車に合わせて自動でライトの照射を調整してくれるため、非常に便利で快適な装備です。
しかし自動のコントロールがうまく働かず、対向車がいないのにロービームに切り替わったり、またその逆のケースもあったりと、対向車のヘッドライトが眩しく不快と感じるドライバーが増えている一因になっています。
別の理由としては、ミニバンやSUVなど車高が高い車が増えていることも考えられます。車高の高い車同士ならそれほど気にならないかもしれませんが、車高の低い車にとってはロービームでも非常に眩しく感じることがあります。
なんと、ロービームには明るさの上限がない!
ところで、ヘッドライトの明るさ制限はどうなっているのでしょうか。暗いのはもちろん危険ですが、明るすぎるのもダメなのでは? そこで、ヘッドライトの「最高光度」について関東運輸局 神奈川運輸支局整備保安部門に尋ねてみたところ、「走行用前照灯(ハイビーム)および配光可変型前照灯(AFS)についての最高光度は、平成18年1月1日以降製造のクルマから225,000cdとなり、その後平成21年に300,000cd、平成27年に430,000cdに引き上げられています。すれ違い用前照灯(ロービーム)については、1灯あたり最低6400cd以上という規定はありますが、上限は設定されていません」ということでした。
ハイビームには最高光度(2/4灯合計)の上限がありますが、ロービームにはそれがないということになります。ハロゲンランプに比べて数倍も明るいHIDやLED光源の普及によって、最高光度もどんどん引き上げられていたのです。
眩しいLEDライト、目に影響は? 防ぐ方法はある?
夜間に運転する機会が多い方、とくに車高の低いクルマのドライバーにとって、ロービームでも強烈に眩しいLEDヘッドライトは一瞬であっても許しがたい存在です。
しかし、現状では光量の上限がない(ロービーム)わけですから、保安基準不適合というわけでもありません。指向性が強く、鋭く明るいLEDライトの光が夜間、突然目に入ってくることはとても不快ですし、残像が残って夜間の運転にも支障をきたします。
いったいどう対処すればよいのか? 知り合いの眼科医に聞いてみたところ、「色の薄い茶系や黄系の夜用サングラスなどで自衛するのが良いでしょう」とのこと。夜用サングラスの中には眩しさをカットすると同時に暗い部分が見えやすくなるものもあるそうです。
自衛とともに、自分が「加害車」とならないよう、とくに後付けLEDライトへの交換時には十分気をつけることも大切です。
【了】
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。