見た目を裏切るパワフルモデル! 羊の皮を被った狼なクルマ5選

元祖「羊の皮を被った狼」といえば「スカイライン」ですが、パワフルなエンジンを搭載しつつ、おとなしい外観というモデルはほかにもあります。今回、そんな「羊の皮を被った狼」“的”なモデル5車種を国産車からピックアップして紹介します。

普通の外観にパワフルなエンジンを搭載

「羊の皮を被った狼」という言葉をご存知でしょうか。発祥は新約聖書の「マタイによる福音書、第7章第15節」にある『にせの預言者を警戒せよ。彼らは、羊の衣を着てあなたがたのところに来るが、その内側は強欲なおおかみである』これが転じて、見た目はおとなしいが中身は良からぬことを考えている人のことを指すようになったようです。

元祖「羊の皮を被った狼」の「スカイライン2000GT」

 日本で「羊の皮を被った狼」という言葉が広まったきっかけは、1964年に鈴鹿サーキットで開催された「第2回日本グランプリ」レースでの出来事といわれています。

 当時、日産と合併する前の「プリンス自動車」が「S54型 スカイライン2000GT」を走らせていましたが、ライバルはポルシェ「904 GTS」という、純粋なレーシングカーに近いマシンでした。

「グロリア」から移植された6気筒エンジンを搭載したとはいえ、市販車を改造した「スカイライン」が敵う相手ではないということは、誰の目にも明らかに見えました。しかし、レース途中でわずかな時間でしたが「スカイライン」は「904GTS」を抜き、トップに躍り出るという快挙を成し遂げるのです。

 この様子を伝えた翌日の新聞の見出しに「スカイライン」を賛美する言葉として「羊の皮を被った狼」と書かれ、後に、見た目とは裏腹に強力なエンジンを搭載し、速いクルマの代名詞になりました。

 そこで、今回「羊の皮を被った狼」“的”な国産車を5車種ピックアップして紹介します。基準としては比較的おとなしい外観を持ち、高性能なエンジンを搭載したモデルになります。

●日産「アベニール GT4」1998年

控えめなエアロパーツでおとなしい外観の「アベニール GT4」

 日産「アベニール」は「プリメーラ」とシャシを共有するステーションワゴンです。見た目は普通のワゴンですが、この「アベニール GT4」は「パルサーGTI-R」や「シルビア」に搭載された、名機といわれる「SR20DET型」エンジンを搭載し、当時の高性能フルタイム4WDシステム「アテーサ」を組み合わせています。

「アベニール GT4」の「SR20DET型」エンジンは2リッターDOHC4気筒ターボで、最高出力は230PSを誇ります。トランスミッションは4ATのみでしたが、十分にスポーティな走りが期待できたでしょう。

 この時代、日産は高性能エンジンだった「SR20DET型」を「アベニール」以外でも、同じくステーションワゴンの「ルネッサ」やセダンの「ブルーバード」にも搭載していました。

「ブルーバード」はスポーティグレード「SSS」がありましたから理解できますが、「アベニール」や「ルネッサ」に高性能エンジンを搭載していたのは謎です。

 おそらく日産は「スカイライン GT-R」や「シルビア」、「フェアレディZ」といったターボエンジンの高性能車をラインナップしていたことから、諸事情でスポーツカーを購入できないファミリー層に向けたモデルだったのではないでしょうか。

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