災害時の電源として活躍目立つEV、PHEVの電源活用 真のクルマの多様化はじまった
災害時の電源としてクルマを活用
じつは、電気エネルギーで動くクルマに、100V電源が必ずしも付いているわけではありません。
例えば、ホンダ「クラリティPHEV」には100V電源は装備されていませんが、ホンダの可搬型外部給電器「Power Exporter 9000」をつなぐことで電源として使用することが可能になります。
「Power Exporter 9000」はクルマの電気を取り出して使えるようにする、外付けのインバーターですが、この製品についてホンダに聞いてみました。
──「Power Exporter 9000」はどういった使い方を想定されていますか。
100V電源が使用できるため、災害時に使いたいといったリクエストをいただいております、また、それだけはなく、アウトドアで電気が必要な時のことも念頭に置いています。
「Power Exporter 9000」は元々2年前に「クラリティFUEL CELL」と同時に発表された製品です。燃料電池車専用と思われていましたが、PHEVにも使用できるとアナウンスしています。
「Power Exporter 9000」は、100Vの家庭用電源と同じように使っていただいて全く問題ありません。
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このように、PHEVやEVが電源として使えるようになった背景には、バッテリーの大容量化が進んでいるということがあります。EVである日産「リーフ」では、従来型のバッテリー容量が24kWhだったのに対し、新型では40kWhまで増え、テスラの「モデルS」は85kWhもあります。
本来、電気エネルギーで走るクルマにとって、走行可能距離を長くするという性能向上が目的ですが、クルマを「走る電源」と考えたとき、容量が大きければ様々なことに活用することが可能になります。
キャンプなどのレジャーで便利というだけでなく、災害時の電力供給が出来ることは大きなメリットのひとつです。ちなみに、三菱「アウトランダーPHEV」は、ガソリン満タン状態(40リットル)で、一般家庭の電力消費換算で最大約10日分を供給することが可能といいます。
すでに東京都練馬区で始まっている試みとしては、災害時に区民や区内の企業が所有するPHEVやEVをボランティアで提供してもらい、避難拠点の電源として活用する「災害時協力登録者制度」を2018年6月から実施しています。
日本国内でのまだまだ普及率は高くないPHEVやEVですが、航続距離も着々と増えてきており、電源としても利用できる幅が広がってきています。トヨタでは、2020年までにEVの本格的に市場投入する動きを見せていますので、一気に普及率がアップするかもしれません。
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