ガードレールの継ぎ目にはルールがある? 事故の時にクルマを保護する工夫とは

普段クルマで走っていても気が付かないと思いますが、ガードレールの継ぎ目にはルールが存在します。小さなことではありますが、大きな役割を果たしています。

ガードレールの継ぎ目はやさしい?

 一般的に「ガードレール」とは白やグレー、ダークブラウンなどの色に塗られたビーム(波型の鉄板)が支柱に設置されているものを示します。

 ガードレールは「車両用防護柵」の一種で、進行方向を誤認したクルマへの道路外飛び出し防止や、乗員のケガやクルマの破損の最小化、道路を逸脱したクルマによる歩行者などへの人的物的被害の防止、クルマの進行方向の復元が主な目的としています。

ガードレールは人もクルマも守ってくれる頼もしい存在

 ほかにも、ドライバーの視線誘導、安心感の提供、歩行者、自転車の転落防止や、みだりに道路横断されないようにする役割を担っています。

 ガードレールには複数の種類があり、国土交通省の定めた「防護柵の設置基準」にもとづいて設置される場所や目的に応じて、C種~SS種の7種類が強度別に分類されています。

 一般的に、C種は市町村道などの交通量も少なく道路の設計速度も低い道路に設置され、SS種は鉄道の上を高速道路が通っているような跨線橋などに用いられ、クルマが線路上に落下するなどの大事故を防ぎます。

 このガードレールですが設置の基準のほかに、重ね合わせにも重要な決まりが存在します。「防護柵の設置基準」を定める国土交通省道路局に伺いました。

──ガードレールの継ぎ目には、どのような決まりがありますか。

 我々が定めました「防護柵の設置基準」と、日本道路協会が解説を加えて発行している「防護柵の設置基準と解説」という本があり、その中では、走行方向に対してガードレールを繋いでいく場合、近いほうのガードレールから道路の外側に繋げていくように、というのが施工の方法として示されています。

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 これは、ガードレールにクルマが接触した場合に車体をえぐり取ることがないように、継ぎ目の引っ掛かる部分をクルマの進行方向とは逆に向くようにしているいということです。

 また、同書には、「重ね合わせを逆にするとガードレールの防護柵機能上、とくに車両の誘導性を阻害する原因となるため注意するものとする。」と記載されています。過去に、沖縄県がアメリカ式の右側通行から日本式の左側通行に改めた際、ガードレールを進行方向に合わせて重ね直されました。

 普段、とくに気にすることのないガードレールですが、気が付かないような部分にまで安全への基準が設けられています。

 近年では安全面だけでなく、無機質な形状のため景観を損なう可能性があるとされ、景観への配慮として、色彩についても基準が設けられています。

 色彩については、「防護柵の設置基準・同解説」の規定に基づき設置されており、「車両用防護柵の色彩は、視線誘導機能を確保するため白を標準とする。ただし、他の手段により視線誘導が図れる場合は、良好な景観形成に配慮した適切な色彩とすることができる」とされています。

 山口県では、山口県名物「夏みかん」にちなんで、夏みかん色のガードレールや、長野県では「信州型木製ガードレール」などが存在します。

【了】

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