ホンダの人気SUV 新型「CR-V」と「ヴェゼル」の悩ましい違いとは
ホンダから2018年8月に発売された新型「CR-V」と、同社人気コンパクトSUV「ヴェゼル」。乗り心地や日常の使い勝手などの違いはどのようなところにあるのでしょうか。
ホンダ「CR-V」が5代目へ進化、「ヴェゼル」との違いとは
約7年ぶりにフルモデルチェンジした、ミドルサイズSUV「CR-V」の登場で、ホンダのSUVラインナップはコンパクトサイズSUVの「ヴェゼル」と合わせて2モデルになりました。
ホンダ「ヴェゼル」の登場は2013年ですが、2018年2月にマイナーチェンジされています。デザインの進化や先進の運転支援システム「Honda SENSING」の標準装備化をはじめ、主にハイブリッドモデルの加速フィールが改良されました。
新型「CR-V」の開発責任者である永留高明氏は、「世界の誰もがどんな環境で乗っても安心で快適な移動を提供したい。つまり、誰にでも使えるストレスフリーの究極の普通のクルマを作りたいという思いで開発しました。もっとも力を入れたのが、徹底的に磨きあげたダイナミック性能です。さまざまな環境、そしてシーンを具体的にテストすることで、細部まで磨き上げました。すべての面において先代を格段に上回る性能が与えられています」と語っています。
すべてが一新された「CR-V」か、熟成が進む「ヴェゼル」か。実は悩ましい選択かもしれません。そこで、それぞれにどのような魅力があるのか、比較試乗してみました。
どちらもガソリン仕様とハイブリッド仕様に2WD・4WDをラインナップしています。今回は、ハイブリッド仕様の4WDを取り上げます。グレードは「CR-V HYBRID EX Masterpiece」と「ヴェゼル HYBRID X・Honda SENSING」です。
まずは、運転しやすさを比べてみます。単純にボディサイズを比較すると、「CR-V」は全長4605mm×全幅1855mm×全高1690mm、「ヴェゼル」は全長4330mm×全幅1770mm×全高1605mm。この差が示す通り、運転席に座った印象でも「ヴェゼル」の方が身の丈に合った感覚が強く、「CR-V」はブカブカの洋服を着た時のようなゆったり感が強い印象を受けます。
ただ、だからと言って「CR-V」は運転しにくいかというと、そんなことはありません。「ヴェゼル」より60mm高い位置にアイポイントのため、視線がより遠くまで届き、ボンネットの両端が確認できることで車両感覚も掴みやすいと感じます。「ヴェゼル」の方がラクだと感じるのは、やはり全幅の小ささによる狭い道でのすれ違いや、最小回転半径が「CR-V」の5.5mに比べて5.3mとやや小さいため、Uターンや車庫入れで扱いやすい点です。
次に、一般道や山道での走りを比べてみます。「ヴェゼル」の大きな魅力は、軽快さとダイレクト感でした。1.5リッターエンジンに、軽量コンパクトな1モーターの「i-DCD」を組み合わせたハイブリッドは、ドライバーの意思にリニアに反応して、ヒュンヒュンと吹け上がる気持ち良さがあります。
路面からの応答も、良くも悪くも自然に伝わってくるので、カーブが続く山道ではとくに、スポーツカーに乗っているかのようなダイレクト感が味わえるのです。でも、決して荒っぽい挙動を見せることがないのは、リアルタイム4WDが雪道など悪路だけでなく、カーブでの旋回時にも後輪へのトルク配分を強くする、ヴェゼル専用のセッティングとなっているためでしょう。