ホンダの人気SUV 新型「CR-V」と「ヴェゼル」の悩ましい違いとは
試乗だけでなく、後部座席の違いも比較
一方で、「CR-V」の大きな魅力は、2リッターエンジンと2モーターの「SPORT HYBRID i-MMD」による、機敏さと安定感が融合した上質な走りで、低速から中速域でもしっかりと路面に踏ん張る安定感に安らぎを覚えます。
新型「CR-V」のなめらかな加速フィールは、一般道でも山道でも余裕たっぷりで、「SPORT」モードのボタンを押すと、低回転から盛り上がりのあるスポーティな走りに変わります。「CR-V」の中でもハイブリッドモデルだけに施したという、「アクティブサウンドコントロール」によって、ドライバーがよりリニアな感覚に浸れるエンジンサウンドとなっているのも、ホンダらしいプレミアムな演出と言えるでしょう。
新型「CR-V」は車両重量が1700kgと、「ヴェゼル」の1380kgに比べるとだいぶ重いので手足のように操るダイレクト感は薄くなりますが、カーブをかわしていく楽しさは互角というのがすごいところです。続いて、高速道路での走りを、後席の乗り心地も含めて比べてみます。
最も違いを感じたのは、やはりダイレクト感でした。「ヴェゼル」は高速域で走りながらも、刻々と変わる路面状況が手に取るように伝わり、それに合わせて自分の意思で操る楽しさがありました。一方で「CR-V」は、EV、ハイブリッド、エンジンという3つのモードを自動でシームレスに切り替えながら走ることで、クルマが路面の変化に瞬時に適応してくれるため、ドライバーは大きな変化を感じ取ることなく、常にリラックスして走れると感じました。
ここ一発の追い越し加速では、「ヴェゼル」には瞬発力があり、「CR-V」には伸びやかさがあります。ひとつ意外だったのは、こうした走りの特徴から想像すると、後部座席の乗り心地は「CR-V」より「ヴェゼル」の方が劣るのではと思っていましたが、予想以上に落ち着いていて快適でした。これも、熟成を重ねてきた成果なのだと思います。
パッケージングとしては、「ヴェゼル」はガソリン仕様、ハイブリッド仕様ともに5人乗りのみですが、コンパクトサイズSUVの中では随一の居住性を誇ります。フル乗車でも荷室容量が393Lとしっかり確保されていますから、ファミリーユースにも十分対応します。
対して「CR-V」は、5人乗りをベースとしながら、ガソリン仕様には3列7人乗りの設定があります。帰省時に祖父母を乗せる機会があるなど、ミニバン的な利便性が欲しい人は指名買いとなるでしょう。ハイブリッド仕様は、5人乗りのみですが、荷室容量が499Lと大きく、後席を倒してフラットにすれば最大荷室長が1830mmにもなり、 趣味や仕事の道具など、大きな荷物を積むことが多い人にも、「CR-V」は頼もしいです。
そのほか、快適・便利装備を比べると「CR-V」にはドライバー2名分のシート位置を記憶する「ドライビングポジションシステム」や、足の動作で自動開閉する「ハンズフリーアクセスパワーテールゲート」など、「ヴェゼル」には設定されない上級装備が豊富です。
そこはやはり、最新モデルならではです。それぞれの魅力を好みやライフスタイルに照らし合わせれば、より好相性のSUVを選ぶことができます。
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