“約30年ぶり”の爆売れ! マツダ新型「2ドアスポーツカー」どんなクルマ? 11年目の進化で登場した「ロードスターピュアスポーツ」に注目
マツダは2026年6月26日、「ロードスター」の商品改良モデルを発表しました。新たなロードスターを、工藤 貴宏氏がレポートします。
約30年ぶりにめちゃ売れてる!
「実は年間の新車販売台数が国内で1万台を超えるのは、初代以来なんですよ。」
そう説明するのは、マツダで「ロードスター」の販売戦略を担当する人。このところ現行型(ND型)ロードスターの売れ行きは好調で、発売から11年がたつというのに販売は右肩上がり。昨年(2025年)には年間1万台を超え、それはまさかの初代以来とのこと。
つまり約30年ぶりなのだそうで。実は令和になって、再びロードスターの波が来ているのです。マツダによると「ありがたいことに若いユーザーが増えている。女性比率も上がっている」と言います。
そんなND型ロードスターが高い人気を保つモデルになっている理由のひとつが、新しい価値を持ったバリエーションの追加。魅力的な選択肢を登場させているのです。
たとえば少し前だと「990S」というモデルがありました。これは1トンを切る車両重量でND型ロードスター最軽量モデルとなる「S」をベースに、ブレンボ社製ブレーキ(キャリパーはひとまわり大きくなるがアルミ製なので鉄製の標準装着品よりも軽い)やRAYS社製鍛造アルミホイールを装着してさらに軽量化を進め、ビルシュタイン社製ショックアブソーバーを組み合わせた専用設定のサスペンションを装着。
軽さを武器に、柔らかいサスペンションで運転感覚に独特の世界観をもたらす玄人好みの仕様でした。
また2023年秋には新グレード「S Leather Package V Selection」を追加。ベージュの幌に「スポーツタン」と呼ぶかなり薄いタン色のインテリアをコーディネート。これは現在も発売中で「ロードスターのオシャレ番長」のポジションを爆進中です。
余談ですが、「S Leather Package V Selection」グレードに直近の改良で追加された現行型ロードスター初となる緑色のボディカラー「ジングリーンメタリック」を選ぶと、まるで初代ロードスターの人気グレード「Vスペシャル」の現代版のようでいい雰囲気。筆者はこれをかなり魅力的な選択肢だと思っています。
さて、新ボディカラーとともに、2026年6月に施された最新の改良でデビューしたのが新グレード「PS」です。
これもまた、新しい価値感を提供し、ロードスターの世界観を広げるモデルといっていいでしょう。つまり、ロードスターの人気をより強固にすることになりそうな予感がします。
PSとはどんなグレードでしょうか。
名前は“ピュアスポーツ”の略で、シンプルに言えば走りの次元を高めたRSの近いポジションです。どちらもサスペンションはビルシュ社製のショックアブソーバーを組み合わせてた同じ味付けのものだし、ブレンボ社製のブレーキやRAYS社製鍛造ホイールまで標準装備する高性能仕様。ブレンボ社製のブレーキやRAYS社製ホイールは、RSではメーカーオプション扱いにもかからず、PSだと標準採用となるのがまず注目部分でしょう。つまり素の状態での走りの装備の充実度はPSのほうが上なのです。
しかもRSより重量が軽い。RSの車両重量が1050kgなのに対し、PSは1030kgしかありません。そのうえ価格だって安い。PSの価格は366万3000円で、それはRSより11万1000円安いのです。
さらにいえば、RSだとブレンボ社製のブレーキとRAYS社製ホイールがメーカーオプション扱いなので、それらを装着したRSに比べるとPSは44万円も安い!)。これを魅力的と言わずしてなんというか。というかちょっと安すぎませんかね、PSは。
ただ、安いのにはやっぱり訳があります。異なるのはシートとオーディオとインテリアの仕立て。まずシートはレカロ社製シートを標準装備するRSに対してPSは通常のシートとなります(シートヒーターは組み込まれる)。オーディオもRSのBOSEではなく普通のタイプに。
またインテリアは、RSだと合皮巻きとなるダッシュボードのガーニッシュやセンターコンソールの仕立てなどを質素にしてシンプルに。すなわち「インテリアと装備の仕立てはベーシックだけど、走りに関する機能はフル装備」というのがPSグレードの正体。もしかすると、PSみたいに走りの性能はフル装備だけど内装や装備を簡略化した仕様をストイックというのかもしれません。
対してRSは「豪華仕様」といっていいでしょう。走りの要素は、どちらもロードスターシリーズで最も高性能ですが(扱いが異なるマツダ・スピリットレーシング仕様を除く)。
というわけで、RSとPSはどう選び分けるか。
ピュアに走りや運転の楽しさを求めるのであれば、PSがいいでしょう。RSよりも軽いし、値段も安いし。
いっぽうで内装の上質さやBOSEオーディオ、そしてレカロ社製シートを求めるのであれば、RSを選ぶべきです。
ちなみに、両者を乗り比べてみたところちょっと気になることがありました(RSはオプションでブレンボ社製ブレーキ&RAYS社製ホイールを装着した仕様に試乗)。同じサスペンション設定のはずなのに、なぜかPSのほうが乗り心地がいいのです。具体的にいえば、細かい凹凸を越えたときの突き上げ感が少なく感じました。
なぜ、サスペンションをはじめとするメカニズム的には同じはずの2台に乗り心地の差を感じたのか。どうやら違いはシートにありそう。RSのレカロ社製シートシートよりもPSに組み合わせている標準シートのほうが、車体の細かい揺れを吸収してくれるようなのです。
すなわち上記の選択基準のほか、「乗り心地を求めるならPS」とも言っていいでしょう。些細な差ですし、ほかのグレードのほうが明確に乗り心地はいいので「PSかRSで選ぶのなら」という条件の下でとはなりますが。

ちなみに、PSはグレーのソフトトップを組み合わせることでスタイリングも差別化。インテリアは、RSではシルバーとしているとエアコン操作ダイヤルとRSではサテンクロームメッキとしているスターターリングをブラック化して視界に入るノイズを低減するとともに、エアコンルーバーの加飾を外側がブラック、内側をシルバーとして独自の仕立てにしています。
もし筆者が最新ロードスターを書くことになりPSとRSで迷ったら、PSを選ぶことでしょう。レカロ社製シートは必要としないし、ブレンボ社製ブレーキ&RAYS社製ホイールを標準装備しつつ価格を抑えてお買い得感が高いからです。
ただ、もし筆者(工藤 貴宏)がロードスターシリーズ全体から選ぶならグレードは「S Leather Package V Selection」でボディカラーは新色ジングリーンメタリックとし、令和版「Vスペシャル」のような雰囲気で乗ることでしょう。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

































